菱電商事は、4月1日から社名を「RYODEN(リョーデン)」に変更し、「事業創出会社」を目指して新たなスタートを切った。その狙いとこれからの事業展開について、富澤克行取締役社長に話を聞いた。
お客様に最適なソリューションを提供する企業へ
ーー社名変更にいたる背景について
当社は、1947年に三菱電機の販売店の「利興商会」としてスタートし、1958年に大興商会と統合して「菱電商事」となり東京に拠点を移しました。2022年に創業75周年を迎え、この大きな変化の時代のなか、これから100年企業を目指す上でどういう方向に向かうべきか、体現していくべきかを考えてきました。
2020年から中期経営計画の5カ年計画として「ICHIGAN2024」をスタートし、販売代理店の枠を超えて、「事業創出会社」になるというテーマを掲げました。単にハードウェアを売る物販の会社ではなく、より価値の高いソリューションをお客様に提案し提供していくことでお客様の価値創造が可能になると考えています。
ーーソリューション提案について
ハードウェアは中国などで安く良いものが製造できるようになり、コモディティ化して差別化が難しくなっています。そうしたなかで、いまある技術の最適なものをどう組み合わせて提案すればお客様にとって一番いいのか?それを誰が考えるのか?に着目しました。
かつての販売代理店は、お客様に何が必要かを聞き、ハードの提案をしていました。これからは、お客様がやりたいことは何かを発掘し、さらに、お客様がどこを目指しているかを発想し、具体的にどう実現するかを発案し、カスタマイズではなく、普遍的な価値になるよう発進することが大切です。この4つの「発」で物販にはない価値を提供すること、それは菱電商事だからこそできることと考えています。
DNAと志を承継し、進化する
ーー菱電商事からRYODENへ 社名に込めた思いとは?
価値を創造する、向上する企業であることを社会に認めてもらうには、自らが変わっていかないといけません。しかし菱電商事という社名の「商事」の部分はトレーディングを意味合いが強く、このままではどうしても物販に引きづられてしまう恐れがありました。
75年もの間、当社の呼び名は、社内も社外のお客様からも、ずっと「RYODEN(リョーデン)」でした。この響きはいわば当社のDNAです。菱電商事のDNAと志を承継し、それでいて中身は大きく変化し、進化することを目指して新しい方向性へと進んでいく、そんな決意を込めて「RYODEN」としました。
ワクワクをカタチにする会社へ
ーーさらにパーパスの制定もありました
このたびグループのパーパス「人とテクノロジーをつなぐ力で“ワクワク”をカタチにする」を制定しました。「人とテクノロジーをつなぐ」はこれまでも長く行ってきたことであり、この力をもってさらに「ワクワクをカタチにする」ことを実行し、2つの力を発揮して新生RYODENを確固たるものとしていきたいと思っています。
5カ年計画もパーパス策定も社名変更も、すべて100年企業としてのRYODENはどうあるべきかを考えた上での取り組みです。社内外のすべてのステークホルダーに、新たな価値を提供してくれるパートナーとして認めてもらえるような企業を目指していきます。
ーー変革にともなう組織変更については
ブランド訴求や広報宣伝を行う部署として、新たに「コーポレートコミュニケーションセンターを設けました。これまでは製品・サービスを市場にアピールするのはメーカーの役割で、販売代理店は刈り取り担当でした。これからは自ら作り出した事業を展開するため、ワクワクを伝え、ブランドのトランスフォーメーションを進める必要があります。
また、FAシステムと冷熱システム、ビルシステム、エレクトロニクスとそれぞれ個別のコア技術をひとつにまとめ、連接して新しい技術提案を行い、トータルソリューションの実現に向け、「戦略技術センター」を設立しました。
ーーあらためてRYODENの強みとは?
2000年代初頭、私が三菱電機名古屋製作所に勤務していた時、サーボのシェアを30%に高める企画を担当していて、菱電商事と一緒に取り組みました。メンバーは若手中心で、当時もチャレンジに積極的な会社という印象を持ちましたが、それは今も変わっていません。
事業としても、2021年に入社する前からFAシステムの強さは認識していたが、それ以外の冷熱システム、ビルシステム、エレクトロニクスも良い力を持っています。お客様の要求に応えるためにはシステムアップして価値を創出することが大事で、いまは事業間の連接に取り組んでいます。
ーーこれからの抱負を教えてください
5カ年計画も残り2年あります。事業創出をしている会社、安心安全、便利、快適、環境にも適合してサステナビリティな社会に貢献している会社として内外に認めてもらうためにも新たな歩みを確固たるものにしなければなりません。
新しいことを組み合わせ、そして新しいものを生み出す。チャレンジは失敗することもありますが、ポジティブにどんどんと挑戦に取り組む会社にしていきたい。