日本電機工業会(JEMA)と日本電気制御機器工業会(NECA)は共同で、制御盤内の配線接続の技術と現状をまとめた「制御盤内の電線接続方式~端子・締付具の課題と対応~」を発行した。
同書は、JEMAとNECA、日本配電制御システム工業会(JSIA)の電機・制御関連の3つの業界団体から参加の委員で構成される電線接続2030JWGが中心となってまとめたもの。全40ページでねじ式・スプリング式など制御盤内の電線接続に使われる主な接続方式について整理し,制御盤のライフサイクルを踏まえた電線接続における課題と対応策について解説。電線や締付具の種類、電線端末処理と締付具との組合せ、関連規格についてや、制御盤のライフサイクルと電線接続、電線接続方法の多様化による部品種類の増加、作業時間・作業工数、電線接続方式の混在、マークチューブの選択、内線と外線サイズへの適応、接続における信頼性の確保について取り上げている。
あらすじとしては、制御盤製造では、電線加工と配線にかかる工数は全体の66%を占め、電線接続の効率化が制御盤製造の大きな課題となっている。
電線接続の方式は多様化しており、電線の種類は、端末処理をしていないより線や可とう線等と丸形端子、Y形端子、フェルール端子など圧着端子で処理をしたものがあり、制御盤では後者が主流。機器と電線を接続するための締付具はねじ式とねじなし式に大別され、日本ではねじ式が主流だったが、近年はプッシュイン式などねじレス締付具を採用した機器も増えている。
電線接続方式の選び方については、それぞれの方式に特徴があり、設計者の意図する目的、コスト、作業性、入手性、メンテナンス性などの観点もあり、設計から廃棄までのライフサイクルを考慮した上で選定する必要がある。特に部品点数の増加や方式による作業項目の違い、両方式の混在、マークチューブの選定、内線と外線サイズの違い、接続の信頼性の確保などに注意して考慮しなければならない。
グローバル化によって世界・日本での制御盤製造、電気接続方式の方法は変わっており、電線接続方式の変更に向けた第一ステップとして電線接続方法の理解が不可欠。また変化を受け入れるためには規格化や標準化も必要だとしている。
同書は、NECAのWEBサイトから誰でも無料でダウンロードして閲覧することができる。