富士経済が行った次世代物流システム・サービス市場調査によると、物流におけるロボティクス・オートメーションは、2021年から約3.5倍の1441億円まで拡大すると予測している。
2021年は省人化、業務効率化を目的とした設備投資が増え、自動化・デジタル化を促進するロボティクス・オートメーションや、ラストワンマイルを実現する機器・システムの導入が進み、市場が拡大。2022年は、EC需要の増大による物量の増加や、複雑なオペレーションへの対応を背景に、人手不足解消、業務効率化を目的として、ロボティクスやAI、IoTなど先端技術を活用した機器・システムの導入が進み、次世代物流システム・サービス市場は前年比7.4%増の7114億円が見込まれる。
2030年に向けては、2024年問題がキーワードとなってドライバーの労働環境の整備と人材確保のための取り組み、新たな輸送スキームの構築などが進むなか、物流DXのニーズが増加。荷待ち時間の短縮やトラックの稼働率の向上、配送・庫内作業の効率化などを目的に、ロボティクスやAI、IoTといった先端技術を活用した自動化・デジタル化の取り組みが一層加速するとみられている。市場規模は2021年比で78.6%増の1兆1831億円まで拡大すると見られている。
ロボティクス・オートメーションは、AGV、アーム付AGV、自動ケースハンドリングロボット、次世代物流ロボットシステム、AMR、物流向けアシストスーツ、ソーティングロボットシステム、AGV用ワイヤレス給電システム、棚搬送AGV、無人フォークリフトの9品目が調査対象とされ、市場規模は2022年は475億円と予測。
省人化、自動化の加速により、WMS(倉庫管理システム)やWES(倉庫実行システム)などと連携した自動化ソリューションが展開され、市場拡大を予想。市場黎明期の品目が多く、利便性や認知度の高まりによる伸びが予想され、RaaS(Robot as a Service)による提供が増えることで販路が広がり、品目別でもAGV・アーム付きAGVが市場をけん引し、次世代物流ロボットシステムや棚搬送AGVなども大きな伸びが期待される。2030年には2021年比3.5倍の1441億円まで成長する見通し。
このうちAMRは、2022年の市場規模は10億円の見通しのものが、2030年には120億円まで大きな成長が期待される。2020年に日本市場が立ち上がり、EC事業者や卸・小売業者で徐々に導入が増え、今後は、労働環境の改善という観点からも導入が進んでいき、市場は拡大が予想される。また、レイアウト変更や需要変動にも柔軟に対応できることから、RaaSの活用が増えていくとみられる。
このほか、デジタルピッキングやラベルプリンタ、自動搬送・仕分けシステム、自動倉庫システム等のロジスティックス・ファシリティは、ロボットなどほかの機器との組み合わせたトータルソリューションの中の1アイテムとして導入が進み、2030年には4233億円まで拡大。
ラストワンマイルは、宅配ボックスのウエイトが高く、無人宅配・配送ロボットや物流向けドローンは実証実験から導入へ段階が進んでおり、配送業務の効率化、省人化を目的に導入が進み、市場の拡大が予想される。