4月末、ドイツの国際産業見本市ハノーバーメッセを訪問し、約3年ぶりに海外を訪れた。コロナ禍の間、海外旅行はもちろん、県をまたぐような長距離移動も憚られていたことを思うと、感慨深いものがある。そして展示会に行って肌で感じた世界市場とトレンドは、日本の特異性と将来に対する懸念を再認識させられた。
ハノーバーメッセは4000社近い企業が出展し、20万人近い人々が世界中から来場する世界最大級の国際産業見本市だ。国別の出展企業数はドイツ企業が最も多いのは当たり前だが、中国や台湾、韓国など東アジアはもちろん、ヨーロッパ各国の企業も数多く出展している。例えば、ヨーロッパ以外の主な国の出展社数は、アメリカは115社、インドは107社、台湾は84社、韓国は74社。これに対して日本は20社。三菱電機やオムロン、キーエンス、安川電機、THKなどはヨーロッパ現地法人による出展でこの数にはカウントしてないが、日本の経済と製造業の市場規模から考えても、日本からの出展は少なすぎる。
国内市場を戦場とし、日本企業同士で争っていた時代は終わっている。国内市場は縮小傾向にあり、その上、外国企業がどんどんと参入するなか、日本のFA企業が生き残るには新天地を求めるしかない。その新天地のひとつが海外市場であり、その鍵を握るのが世界に工場を展開しているヨーロッパ企業であるはずなのに、その本丸に食い込もうとする意識が見えない。海外展示会で日本企業の存在感がない状況が何年も続いていて、いまだ日本は内弁慶から脱しきれていない。特に中小企業は顕著で、そこは他の国とは大きく異なっている。新たな市場を求めない企業に未来はない。せっかくコロナ禍が明けて世界への扉がまた開いた。日本に引きこもる道理はない。