FAを主戦場とする電機機器各社の2023年3月期決算が出揃った。半導体とその製造装置向け需要の大きな盛り上がりと人手不足による世界的な自動化需要を背景に、各社業績を大きく伸ばした。
調査対象とした上場企業22社のうち、増収増益を果たした企業が19社。うち17社が前年比10%以上の大幅な増収、14社が10%以上の増益を達成した。特にキーエンスやSMCをはじめ、海外売上比率が高い企業の伸びが目立つ。また近年は売上よりも利益を重視する傾向があり、キーエンスの54%を筆頭に、SMCの31%、ファナックの22%に続き、IDECの16%、安川電機の12%、オムロンの11%など稼ぐ力の強化が進んでいる。
各社の傾向としては、三菱電機は売上高の過去最高を更新。FAシステムはスマートフォン、半導体などデジタル関連分野の受注が一服したが、脱炭素関連の需要が好調だった。
富士電機は、売上高が1兆円の大台を突破し、営業利益、純利益も過去最高を更新。
キーエンスは、売上・利益ともに好調を継続し、売上高9000億円を突破。特に海外が順調で、全体における海外売上は62%まで拡大した。
オムロンは、2期連続で最高業績を更新し、営業利益も1000億円を突破。営業利益率は11.5%まで向上した。
SMCは、7000人のグローバルな直販体制を敷き、売上の8割近くを海外で獲得。ITを活用して販売数量を伸ばし、為替影響も追い風となって大幅な増収を果たした。
安川電機は、モーションの売上高が10%、ロボットが25%増と好調に推移して増収増益。
横河電機は、海外の全地域で受注が好調で、売上・利益ともに引き上げた。
アズビルは、2期連続で過去最高業績を更新。受注と受注残も過去最高額を計上し、調達・生産力強化が功を奏して売上につながった。
CKDは、国内外で半導体製造装置向け需要を獲得した機器部門が好調で増収増益。
日東工業は、主力の配電盤・分電盤など売上は増収となったが、原材料費の高騰の影響を強く受けて減益となった。
山洋電気は、グローバルでロボットや半導体製造装置などFA市場の需要を獲得。
IDECは、過去最高業績を更新し、営業利益率も16.8%まで向上。海外売上は前期比23.7%増加し、海外売上比率も58.8%まで高まっている。
2024年3月期の見通しは、いまだに過去最高レベルに嵩んでいる前年度からの受注残があり、半導体とその製造装置向け需要の減速感など懸念材料はありつつも、各社は前年度と同等か若干の成長による増収増益を見込んでいる。