2022年日本の産業用ロボット市場は、年間の受注額・生産額・出荷額のすべてで1兆円を突破し、名実ともに1兆円の巨大産業となった。
日本ロボット工業会(JARA)が発表した「マニピュレータ、ロボット統計 受注・生産・出荷実績2022年 暦年【会員+非会員】」によると、2022年の同会の会員と非会員を含めた年間受注台数と受注額は、対前年比0.0%増の29万9093台、3.1%増の1兆1118億円で過去最高を記録。年間生産台数と生産額は、9.1%増の28万51台、8.7%増の1兆210億円で過去最高となった。年間出荷台数と出荷額は8.1%増の28万2934台、9.2%増の1兆509億円となった。すでに1000年に1兆円超えを果たしていた年間受注額に続き、年間生産額と年間総出荷額が初めて1兆円の大台を超えたことにより、全項目で1兆円を突破した。
用途別の出荷台数・金額では、成長著しい半導体などクリーンルーム用は4万1862台(25.1%増)、1652億5700万円(24.8%増)と大きく伸び、溶接向けは4万6954台(1.0%増)、1244億6700万円(6.0%増)、組立は4万3092台(11.6%減)、1108億8000万円(23.2%増)となった。また機械加工向けが1万5461台(74.4%増)、298億5300万円(77.8%増)と急拡大、マテハン向けも7万7454台(11.5%増)と二桁伸びとなった。
仕向地別では、国内出荷台数・出荷額は4.9%増の5万2415台、4.7%増の2335億円で前年を上回った。このうち業種別では、自動車は1万2579台(6.9%減)、541億8000万円(11.3%減)で出荷台数・金額ともに前年比マイナスとなったが、電気機械が2万707台(10.5%増)、955億4900万円(16.8%増)と大きく伸び、機械も5164台(22.1%増)、230億1800万円(19.5%増)と拡大。このほか金属製品も2734台(15.1%増)、飲食料品・たばこ・飼料が883台と自動車と電機機械業界以外の分野にも広がっている。
それに対し、輸出台数・輸出額は8.9%増の23万519台、10.6%増の8174億円で、輸出比率は77%となった。地域別では、中国が3361億900万円と前年から6.5%減となったが、中国を除くアジアは24.6%増の1799億1500万円、北米は26.7%増の1732億3300万円、欧州も33.7%増の1102億5100万円と他の地域が目覚ましい伸びとなった。
2023年の見通しについて、国内外で自動化需要は継続するが、足元では世界経済の先行き不透明感で受注に調整局面が見られ、受注額は8.3%減の1兆200億円、生産額は2.8%増の1兆500億円と予測している。