

北陽電機は、独自のソリッドステートスキャン技術を持つ米国のスタートアップ企業ルモーティブ社と協業し、駆動部にメカ機構を一切使用しない新たなデジタルスキャン方式の3D LiDARを開発し、そのプロトタイプとなる「YLM-X001」を7月から発売する。
ルモーティブ社は、電圧によって液晶が偏向する特性を使い、レーザービームの照射方向を制御することが出来る、独自のビームステアリング技術LCM(Light Control Metasurface)を開発し、それを制御する半導体チップを量産しモジュールとして市場に供給している。
これまでのLiDARにおけるビーム制御は、ローテーティングやガルバノ、MEMSなど機械的な構造が使われ、ハードウェアによって同じ動きを高速で繰り返すことで常に一定の範囲をカバーしていたが、LCMは液晶の偏向特性を利用することでソフトウェアでの制御を可能とし、角度や解像度を自由に変化させることができる。また機械式だとモータの発熱によって精度が落ちたり、外乱によるキャリブレーションが必要だったが、LCMでは構造的にそれらの課題も解決。また機械式LiDARは高性能で価格が高く、レーダーや磁気センサ、超音波センサ、ステレオカメラなど距離や接近など周囲の環境変化を検知する他の技術は低コストだが性能は低いのに対し、LCMは高性能で低コストを実現している。
両社はLCMを使った産業用LiDARを開発し、7月からプロトタイプ「YLM-X001」の提供を開始する。同製品はルモーティブ社製センサヘッドと演算モジュールを合体させたもので、検出距離は0.1〜10mのショートレンジタイプ。視野角はH120°〜V90°で垂直方向は変更が可能。距離精度は距離×0.5%、解像度はQVGAをデフォルトとする。角度分解能は0.375°以下で、フレームレートは10Hz以上。インターフェースは1000Base-T Ethernetで、Web UIまたはAPIで制御できる。サイズは高さ79×幅119×奥行85mmのコンパクトサイズ。ToFカメラに比べてマルチパス干渉やノイズに強く、解像度や検出範囲、フレームレートを変更でき、AGVやAMR、サービスロボットなど屋内外搬送機器での用途を想定している。
プロトタイプのYLM-X001の提供で開発環境を先に整備し、2024年1月には、仕様そのままでサイズと価格を最適化した量産品「HM30(仮称)」を発売する予定としている。