山善は、製造業や建設業、物流業に従事する社会人を対象に自社の自動化・省人化の取り組みについての調査を行い、人手不足に対する業務効率化、自動化熱が高まる一方、その取り組みは鈍く、自社の自動化に「満足せず」が7割超 目標進捗率30%以下も6割超という結果となった。
はじめに、「自社の働き方改革で求める改革」について聞いたところ、5割が「労働時間の短縮」、3割が「工場内の環境づくり(室温・空気など)」と回答。労働時間を短縮するために業務効率を上げたいと考え、且つ労働環境を良くすることが必要という意見が上位を占めた。
続いて「自社で抱える人材や設備に関する課題」については、6割が「人手不足」、5割が「人材の高齢化」を挙げ、人手不足が喫緊の課題となっていることが分かった。ベテランの退職による技術承継や設備投資と自動化の停滞も3割超の回答はあるが、少し先の課題よりも目の前の課題の方に目が向いていることが分かる。
「自社で抱える人材や設備に関する課題対策として必要だと思うこと」については、「無駄の削減」(44%)、「自動化・省人化」(32.8%)「人材確保」(27.9%)となり、業務効率化や自動化で対応しようとしていることが分かった。
自社の課題として「自動化・省人化が進まない」という回答者に対し、その状況を聞くと、自動化に「取り組んでいる」は18.7%と2割に満たず、「検討をしている」も26.8%。「取り組む予定はない」が23.2%、「分からない」が30.4%となった。
「取り組んでいる」人たちの自動化の満足度、目標に対する進捗率を聞くと、72.4%の人が「満足していない」とし、「満足している」は9.4%にとどまった。さらに目標進捗率を聞くと、30%以下が6割超を占め、50%以下では85%となり、各業種で取り組みが進んでいないことに加え、取り組んでいてもまだ十分ではないと考える方が多数であることが分かった。
調査結果に対し同社トータル・ファクトリー・ソリューション(TFS)支社技術サポート部の植島代志和部長は「各業種において自動化を推進する強力なリーダーシップが必要であると痛感した。また、自動化を計画・立案する方と、現場でそれを実行する方のすり合わせも大事なポイントだと思う。そして、生産もしくは物流のラインの中で、自動化する箇所と人が行う箇所の住み分けを適切に行い、ライントータルで生産効率を上げるということが、満足のいく自動化への第一歩だと考える」としている。