帝国データバンクは、「企業の DX への取り組みに関する動向調査」を実施し、DX 対応済の企業は全体の16.4%にとどまり、規模間格差が大きく、人手不足が深刻なほど対応進むとまとめた。
同調査は、同社のデータベースにあり、DX対応状況をヒアリングできている12 万 5242 社を抽出し、そのうち DX に対応していると回答した企業 2 万 548 社を分析対象とした。
「DX への取り組み状況」について、「すでに対応している」企業は全体で 16.4%。うち、専門部署を置いている企業は 3.5%にとどまった。すでに対応している企業を売上規模別に見ると、100億円以上が50%と半数を占め、そのうち専門部署を置く企業は 19.8%となった。また、すでに対応している企業の割合を従業員数別にみると、「1001 人以上」の大企業が65.4%を占め、このうち専門部署がある企業は38.4%、301人から1000人までの企業が49.5%、101人から300人までの企業が35.4%となった。売上規模が大きく、従業員数が多い大企業になるほどDXの専門部署を設けてDXは進み、反対に小さくなるほどDX への取り組みが進んでいない、状況が明らかになった。
DXに対応している企業について、人手不足の状況との関係では、正社員が「不足」していると考えている企業
の26.5%で対応が進んでおり、「適正」と考える企業より 5.1 ポイント高かった。人手不足を認識し、そこに痛みを感じていることに対して、DX で補完しようとする姿勢が分かった。
また、DXに対応している企業について、5つの経営指標をもとにみると、成長性や生産性の違いで取組状況が異なる傾向があった。従業員数が「5 人以下」では、DX に取り組んでいる企業は成長性指標が突出して高くなり、従業員数が多くなるにつれて全体平均に近づいていく傾向が見られた。生産性では、従業員数が「6 人~20 人」「21 人~50 人」の企業では生産性が全体平均の 1.1 倍を超え、DX への取り組みは、中小企業において“生産性”がより重要な要因となる。
同社はまとめとして、「現在すでに DX に対応している企業は 1 割台にとどまっていた。また、売り上げ規模が 100 億円以上の企業においても、DX に対応している企業は半数に満たないほか、従業員数や業種によって DX への取り組み状況は大きく異なる現状が明らかとなった。他方、人手不足が DX の取り組みを促進している可能性も示唆される。デジタル技術の進展や消費者ニーズの多様化によってビジネス環境が激しく変化するなか、企
業が生き残るためにはデジタル化や DX への取り組みが求められている。政府による中小企業への支援策とともに、中小企業はデジタル人材の確保に加えて、リスキリングなどを通じて既存従業員のデジタルスキル向上や、社内全体の能力向上に関する施策を実施することが肝要となろう」としている。