日本の製造業が売上・利益を上げるには、横ばいから縮小の日本市場を維持しつつ、海外市場での需要獲得が必須。実際に製造業の海外進出は拡大しており、2021年度の現地法人売上高は139兆円に達し、過去10年の最高額を上回った。
経済産業省の「海外事業活動基本調査」によると、2021年度末時点での製造業の海外現地法人数は1万902社。売上高は139兆4000億円で、前年度比23.6%増。コロナ禍前の2018年を上回り、過去10年の最高額を更新。現地法人の日本側出資者向け支払い(配当金・ロイヤリティ)は5.5兆円(32.1%増)となった。
現地と域内での販売比率は、北米が92.9%、欧州が82.7%、アジアが79.2%。日本への販売比率は北米が2.8%で、欧州が4.0%、アジアが15.5%。アジアは10年前と比べると現地・域内販売比率が向上し、日本への販売比率が下がっていて、現地ローカルでの販売が拡大している。
また海外生産比率も年々増加し、2021年度の国内全法人ベースでの海外生産比率は25.8%。前年度から2.2%上昇し、過去10年で最も高くなっている。海外進出企業ベースでは40.7%で、4割以上の製造業が現地生産を行なっている。業種別では、輸送機械が47.0%と最も高く、はん用機械が34.4%、情報通信機械が27.4%、化学が23.4%、非鉄金属が20.6%となっている。
研究開発費も9075億円(27.7%増)と拡大し、生産機能だけでなくR&Dとしての期待も増大。設備投資額は3.7兆円(14.0%増)となっている。