FA・電機機器・機械部品の主要メーカーの2024年3月期の第一四半期決算が出揃った。半導体関連需要の低迷と中国市場の冷え込みという厳しい環境にありつつも、電機メーカー各社は価格改定の効果や生産回復による受注残の消化が順調に進み、多くの企業が増収増益を果たしている。一方で機械部品各社は中国需要の停滞が足を引っ張っている。
FA・電機機器各社について、三菱電機は増収増益。ライフ部門の空調・家電事業とビル事業が堅調に推移し、売上・営業利益ともに貢献。海外が好調で、前年同期比21%増の売上高6848億円となり、欧州、北米が大きく伸び、アジアも堅調に伸びた。またFAシステム事業について、売上高1974億円、営業利益は287億円。リチウムイオンバッテリなど脱炭素関連需要は継続しているが、半導体などデジタル関連で需要が減少し、売上高は前年同期比で72億円のプラスとなったが、営業利益は20億円減となった。
富士電機は大幅な増収増益。売上高が全事業部門で増収となり、営業利益もパワエレインダストリーと食品流通が増益を牽引。パワエレインダストリーの売上高は762億円で前年同期比111億円増加、営業損益はマイナス3億円だが15億円改善した。オートメーションは部材調達難の緩和にともなう生産増加や受注残消化によって10%の増収となった。
キーエンスは増収増益。売上高2222億円(15.8%増)、営業利益1112億円(8.2%増)、純利益851億円(6.9%増)となり、営業利益率は50%となった。
オムロンは増収増益。制御機器事業とヘルスケア事業、社会システム事業で増収増益、電子部品事業は需要停滞を受けて減収減益。制御機器事業は、注力事業領域の需要回復は下期にずれこむ一方で、i-Automationコンセプトによるソリューションが好調で、採用顧客数は1Qで150社増加した。
安川電機は増収増益。部品不足と中国ロックダウン影響で遅れていた生産を回復して受注残を消化したことが功を奏した。セグメント別ではモーションコントロール事業は売上高695億円(前年同期比25%増)、営業利益98億円(43.7%増)。ACサーボが半導体需要低迷の影響を受けたが、インバータの生産正常化が貢献した。ロボット事業は、売上高527億円(18.5%増)、営業利益61億円(86.2%増)と好調。欧米を中心に人件費高騰と労働力不足に対する自動化投資が旺盛で、中国でも太陽光発電パネル生産等の需要で大きく伸びた。
横河電機は増収増益。売上増加にともなう粗利増によって営業利益が大きく増加。純利益も投資有価証券売却などにより増益となった。制御事業はコロナ禍からの回復で売上が21%増加し増収増益となった。
アズビルは増収増益。強化した調達・生産体制によって生産が拡大して増収となり、増収効果と価格転嫁など収益力強化で増益となった。AA事業は、PA市場は保守・改造需要を中心に堅調に推移し、FA市場は半導体製造装置の市況低迷と先行発注で需要が低迷したが、工場やプラントの脱炭素や人手不足、設備老朽化対応などへの需要が拡大した。
日東工業は増収増益。電気・情報インフラ関連製造・工事・サービス事業の売上増加、オフィスネットワーク案件等の回復で電気・情報インフラ関連流通事業が増加した。
山洋電気は増収増益だが、通信装置やロボット、半導体製造装置などFA市場の需要が減退して受注と受注残が減少。クーリングシステムはEV用急速充電器や高性能サーバ向けの需要、パワーシステムは産業用設備や医療用設備向けの需要が好調。サーボシステムは半導体製造装置やウエハ搬送ロボット向け需要が大幅に減少し、中国市場も低迷した。
IDECは減収減益。欧米は好調だったが、APACと国内需要低迷が響いた。製品別では、プログラマブル表示器は納期改善で拡大したが、スイッチは半導体関連や工作機械の需要減少で減少。制御用リレーは中国市場が減少し、プログラマブルコントローラは米州向けが堅調だった。
オプテックスグループは減収減益(12月決算、2023年度上期)。SS事業が堅調だった一方で、IA事業のFA関連とMECT関連が伸び悩んだ。FA関連はヨーロッパ向けは順調だったが、中国の二次電池向けが低調となり、国内は半導体関連の設備投資抑制や在庫調整を受けて販売が伸び悩んだ。
NKKスイッチズは増収減益。国内は放送音響・特殊車両・鉄道など特定市場に注力したが、売上高は6.2%減の19億円。欧米はネット販売や特定市場が功を奏して増収。アジアは景気回復ペースの鈍化によって12.1%減の12億円となった。
機械部品各社について、ニデックは増収増益。営業利益と純利益は1Qベースで過去最高を更新。特に家電・商業・産業用製品がリードし、脱炭素やグリーン関連で高効率モータの置き換え需要を中心に、ロボットモジュールやバッテリエネルギー貯蔵システムなどが伸長。
ファナックは減収減益。売上高は2017億円(4.6%減)、営業利益は325億円(34.5%減)、純利益は303億円(28.0%減)となった。ロボットは中国と米国のEV関連が好調で20%の増収となったが、FA部門とロボマシン部門は海外市場の減速を受けて売上が減少した。
ミネベアミツミは増収減益。データセンターの落ち込みが足を引っ張ったが、回復は時間の問題としている。
SMCは減収減益。半導体・電機関連の設備投資の抑制や先送り、中国の景気減速による工作機械の調整局面への突入などが影響した。医療機器や食品機械関連もコロナ後の省人化・自動化需要はあるが伸び悩んだ。
THKは減収減益。米国と欧州で産業機器事業が堅調だったが、国内と中国の需要減少が響いた。
CKDは減収減益。機器事業はEV製造装置向けは堅調に推移したが、半導体製造装置向けが減少し、海外も低迷した。
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