FA・電機の主要商社の2024年3月期の第一四半期決算が出揃った。製造業の設備投資は底堅く、FA機器メーカーの生産回復効果で各社のFA関連事業は好調に推移。また自動車関連も生産台数の回復やEV開発関連が追い風となり、それらを捉えた企業は増収増益を果たしている。
山善は減収減益。生産財関連事業は前年同期比8.4%減の764億1600万円。国内は半導体産業の鈍化と自動車産業の投資控えから工作機械の売上が厳しく、工具は横ばい、建設機械向けの産業は堅調に推移。海外は北米、台湾、中国、ASEANともに厳しい状況となった。
因幡電機産業は増収減益。産業機器事業は12.8%増の100億8500万円。脱炭素・エネルギー用途向けに半導体関連向けが好調で、製造業を中心に設備投資が堅調に推移した。電設資材事業も電線ケーブルが好調で、首都圏再開発や製造業の設備更新、データセンターなどの大型物件向けに防災設備や受配電設備等の納入により、16.0%増の453億7000万円となった。
RYODENは増収減益。FAシステムは18.0%増の123億7100万円。半導体製造装置向けの販売が海外需要の落ち込みで低調だったが、国内のメーカー生産量の増加によって工作機械と一般産業装置向けの販売が好調に推移した。
立花エレテックは増収増益。FAシステムは19.7%増の293億4900万円と好調に推移。半導体製造装置関連や物流関連等の設備投資に一服感はあるものの、受注残が旺盛でPLCやインバータ、ACサーボが大きく増加。低圧配電制御機器も好調に推移。産業機械分野でもレーザー加工機が大きく伸長した。
萩原電気ホールディングスは増収増益。主力のデバイス事業は、自動車生産台数の回復や供給品の採用車種拡大などにより半導体や電子部品の需要が好調だった。
サンワテクノスは増収増益。電子部門は8.9%増の314億500万円。産業機械、精密機器、自動車関連搭載向けの電子部品、電子機器、事務用機器業界向けのコネクタの販売が増加したが、アミューズメント業界向けが減少。電機部門は太陽光関連業界向けが増加した一方、半導体関連、産業機械業界向けの電機品、電力業界向けの重電機器の販売が減少した。
カナデンは増収増益。製造業の設備投資需要も回復基調でFAシステム事業が順調。コントローラシステムや駆動制御機器を中心に好調に推移した。情通・デバイス事業も半導体・デバイス分野が堅調を持続したことに加え、情報通信分野で電子医療装置案件が増加した。
たけびしは増収増益。FA・デバイス事業は14.2%増の197億1200万円。FA機器が半導体製造装置関連や衛生関連向けを中心に増加し、デバイスが半導体製造装置やセキュリティ関連向けで堅調に推移し、さらにインドの車載関連や東南アジアのEMS向けが増加した。
藤井産業は増収増益。産業システム事業は、生産現場のカーボンニュートラルに向けた取り組みを推進し、医療機器・半導体関連メーカーを中心に堅調に推移した。
明治電機工業は増収増益。自動車生産台数が回復傾向にあり、次世代モビリティ開発への投資を活発に行う計画を背景に、自動車関連企業向けが好調に推移。電気・電子・半導体関連企業は、電気自動車や自動運転の普及にともなう車載電装品への投資が堅調となった。
スズデンは減収減益。FA機器分野はRFID、グラフィック操作パネル等が増加したが、センサー、制御盤等が減少し、4.7%減の89億4500万円となった。
トラスコ中山は増収増益。製造業、建設関連業等向け卸売のファクトリールートは、6.4%増の895億円。物流センターと支店での在庫施策やエンドユーザーの向上に置き工具「MROストッカー」設置、荷物詰め合わせと直送の促進等に取り組み効果を得た。
モノタロウは増収増益。SEO対策やテレビCM、特価販売の促進等で顧客接点を強化。2023年1−6月期で57万1864口座の新規顧客を獲得し、現時点での登録会員数は857万8358口座となっている。
ミスミは減収減益。中国の景気低迷が大きく響き、FA事業、金型部品事業、VONA事業ともに苦戦した。