EC市場の拡大による物流量の増加と人手不足の深刻化のダブルパンチにより、日本だけでなく世界的に物流搬送の自動化需要が盛り上がっている。矢野経済研究所の調査によると、AGV/AMRの世界市場規模は2026年には9087億円に達し、今後の4年間で2022年の2倍超まで拡大すると予測している。
調査では、2021年のAGV/AMRの世界市場規模はメーカー出荷金額ベースで3387億円、2022年は前年比18.6%の4017億円に達すると推計。
コロナ禍によって世界各国でEC市場が拡大し、物流業界では物量増加や人手不足対策として自動化を通じた効率化需要が高まり、AGV/AMR導入拡大につながった。また製造業でも、部材不足で生産に大打撃を受けた反省から、生産正常化のなかで自動化需要が高まり、AGV/AMRで搬送の自動化率を高め、人件費の削減や作業効率化の向上を目指す企業が増えたとしている。さらに、カーボンニュートラルに向けて、フォークリフトも内燃機関から電動化の採用が広がり、産業現場の電動化の流れが物流自動化にもつながった。
需要分野別では、製造業向けが8割、物流向けが2割を占めている。製造業は設備投資余力のある大手や中堅、自動車関連、エレクトロニクス業界を中心に導入が進み、安全への考慮からAGVの需要がまだ高い。物流はEC業界やアパレル、食品関連の物流倉庫で導入が拡大しており、フレキシブルに活用できるAMRが好まれるケースが増加している。その他建設などインフラ、空港や港湾の貨物コンテナ搬送などで採用も広がっている。
今後の見通しとして、2023年の世界市場規模は28.1%増の5146億円になる見込み。部材不足の解消にともなってAGV/AMRの生産への影響も減りつつあることと、北米や欧州、中国などではEVと二次電池・半導体等関連部品の生産が拡大し、導入が期待されている。日本や中国、韓国などでもAGV/AMRの生産や導入に対する支援が行われており、市場拡大の追い風になる見通し。
また世界の主要国では、人手不足や人件費の上昇、若者が過酷な労働環境や過重労働を避ける傾向が強まり、単純な繰り返し作業や重量物のハンドリングなどに対する自動化のニーズが高まりつつあり、AGV/AMRの導入は今後も堅調に進むと見られ、2026年には9087億円まで成長すると予測している。