CEATEC 2024に行った。会場ではスタートアップや行政、大学など来場者や参加者にカジュアルな格好の若い人の姿が多かったことが印象に残った。スタートアップなど新しい経済圏や文化が少しずつ構築されてきていて、いかに既存の産業とこうした新しい産業を融合させて次の進化につなげるか。普段の産業系の展示会とは雰囲気が異なり、新鮮な発見を味わいつつ、そんなことを考えた。
一方で、昔ながらの電子部品や電子機器などエレクトロニクス業界の出展企業は減っていて、多くのブースがパネルやコンセプト展示になっていて一抹の寂しさを感じた。リアルの展示会の良さは、お目当てのブースに行って実物を見て、その領域を専門にしている技術者や営業担当など詳しい人と話して狭く深く情報をゲットした後、会場内をブラついて目についたブースや展示品をチェックして、広く浅く情報を仕入れられることだ。しかし実物のないパネルやコンセプト展示では見て触る楽しみが少なく、現場での活動量も減ってしまう。これではオンライン展示会とさほど変わらず、時間をかけて足を運んだ意義を考えてしまう。また心にも残りにくく、響きにくい。特に産業系の展示会は、新製品や技術、コンセプト発表会ではなく、ビジネス見本市、商談会と捉えているので、余計にそう感じたのかもしれない。
コロナ禍が明けてリアル展示会が復活し、オンラインとのハイブリッドでの開催が多くなった。リアルは出展者も来場者も手間がかかり、万人は集められないが、来た人とは密なコミュニケーションができる。オンラインは手軽で多くの人を集められるが、閲覧者との関係性は遠く薄い。アフターコロナの展示会、新規客の獲得や顧客との関係性強化には何が有効か?答えはまだ見つかっていない。ただ、ひとつ言えることは、リアルもオンラインも手段はどうであれ、来場者・閲覧者に何かしらの良い刺激を与え、印象に残ることを提供しなければ意味がない。展示会というとリードの数を獲ることを目的としがちだが、それは自社都合であって顧客目線に立っていない。本当にハイブリッドしなければいけないのは、自社の利益と顧客満足の両立。アフターコロナの展示会は、誰もが「参加して良かった」と感じられる展示会。試行錯誤を続けていこう。