経済産業省、EV充電インフラ整備促進の指針策定 2030年までに充電器30万口設置に拡大 盤業界の追い風に

経済産業省は、2035年までに新車販売で電動車・EV100%の目標に向け、インフラとしての充電器の設置をさらに加速させるため、「充電インフラ整備促進に向けた指針」を策定した。これまでは「2030年までに公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万台設置する」として3万基の整備をおこなってきたが、新たな目標として「2030年までに30万口、総数・総出力数を現在の10倍に引き上げる」指針を示した。充電器の整備はそのままキュービクルなど盤の増設や改造・更新にもつながり、盤業界の追い風になると期待される。

指針によると、現在、国内でのEV充電器の現状は約3万基が整備され、うち急速充電器は9000口。設置されている急速充電器の平均的な出力は約40kWで、普通充電は3kWが大半。また日本の自動車の使われ方は、1日の平均走行距離は50km以下が90%を占め、自動車自体も軽自動車が40%を占めている。
これらのことから、今後は充電器の設置台数と口数の拡大、総出力の増強が必要な一方、電池容量や充電速度が比較的に小さめで良いことから、集合住宅などへの普通充電器の整備と、高速道路などでの急速充電器の整備を進め、基礎充電ができる環境を構築しつつ、公共用充電器を整備していく方針を示した。
具体的な数値目標は、2030年までに充電器の口数は、公共用急速充電器3万口を含む30万口を整備。出力も急速充電の平均出力は現在の40kWから80kWに倍増し、充電器全体の総出力も現在の39万kWから、約10倍の400万kWを目指すとした。

急速充電器は高速道路、道の駅、SS、コンビニ、ディーラーに

急速充電器の整備指針について、高速道路では原則として1口の出力を90kWとし、90kW以上を設置する場合は複数口に対応した機器とし、小型・分離型の充電器を設置する。設置範囲は、おおむね70kW以上感覚が開かないようにし、ユーザーを限定しない形での充電器の配備を進め、高速道路のSA・PAには2025年度までに1100口程度の整備を進めるとしている。
道の駅や行動、サービスステーション(SS)、コンビニ、ディーラーについては、駐車スペースに余裕がある、充電ニーズが高い場所では1口の出力が90kW以上で複数口に対応した充電器を設置し、難しい場合でも50kWは確保する。2030年までの設置の目安は、道の駅は全1200カ所に対し平均1口となる1000から1500口、SSは全SSの2割程度で1カ所平均1.5口となる1万口、コンビニは急速充電器を設置できる駐車場あり店舗の10%に対して5000から1万口、ディーラー等は全店舗2万のうち50%に対して7000から1万口。その他商業施設も状況に応じて整備を進める。

普通充電器は既築・新築の集合住宅や月極駐車場に

普通充電器の整備指針について、マンションなど集合住宅での基礎充電は、既築住宅と新設住宅の両方に対し充電器が整備された集合住宅を増やしていくことが必要で、啓蒙や補助金整備を進め、集合住宅や月極駐車場等に対して2030年までに10〜20万口の整備を目安とする。
公共用普通充電器は、低コストで充電でき、基礎充電や経路充電を補完する役割を期待できる一方、使われない可能性も考慮し、長距離走行後の目的地で滞在時間が長い施設、基礎充電の代替を求めるユーザーが多い目的地で滞在時間が長い施設を具体化していき、2030年には10〜15万台の設置を目指す。

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