JEMA(日本電機工業会)は、2023年度上期の重電機器の状況をまとめた。2023年度上期の重電機器の国内生産金額は、ボイラ・タービンなど発電用原動機が大幅に落ち込んだため、総額で前年同期比7.8%減の1兆6632億円の前年割れとなったが、その他の回転電機機械や開閉制御装置等は前年を上回った。下期は製造業・FA向けは厳しい市況が続くが、受配電機器は電力や再エネ向け需要増で好調を見込んでいる。
製品種別では、発電用原動機は62.6%減の1144億円。前年度上期に国内火力発電所のリプレイス需要があったため、その反動で前年から2000億円弱減らし、3分の1まで激減した。
モータなど回転電機機械は0.2%増の5040億円と前年度を上回ったが、製造業向けの設備投資のうち半導体や電子部品産業向けの需要が減少し、サーボモータが5.9%減の549億円、交流電動機も11.2%減の1719億円にとどまった。
変圧器やサーボアンプ、インバータなど静止電機機械器具は、9.3%増の3319億円。変圧器は8.9%増の1204億円。電力変換装置は11.2%増の1730億円で、このうちサーボアンプは3.2%減の537億円となった。またインバータは32.9%増の769億円となり、部材不足の解消と生産回復の効果が顕著に現れてきている。
開閉制御装置・開閉機器は、3.1%増の7129億円。密閉形ガス絶縁開閉装置は6.8%増の324億円、監視制御装置が6.8%増の909億円となり、電力向け中心の製品は好調となった。一方で製造業やFA向けとなる低圧開閉器・制御機器は1%減の2838億円でわずかな減少ながらほぼ前年並みをキープ。PLC(プログラマブルコントローラ)は、5.1%増の691億円となった。
下期の見通しについて、全体では前年を下回る見通し。発電用原動機は脱炭素で火力発電市場が縮小傾向にあり減速は免れず、一方で電力向け中心の密閉型ガス絶縁開閉装置や監視制御装置等は再エネ普及による送電・配電網の構築が追い風となり、前年を上回ると見られている。製造業やFA向けのサーボモータやサーボアンプなどの産業用汎用機器は半導体と電子部品産業の需要減少で停滞するが、一方で部材不足の解消と生産力強化の成果が出てきており、受注残が進むと予想される。