2024年の中小企業の景況は、2023年よりも改善する。日本政策金融公庫総合研究所の調査によると、中小企業の2024年の業況判断DIは12.7となり、2023年の8.2から4.5ポイント(pt)上昇。設備投資関連への需要も回復する見通しとなった。
調査は、同公庫の取引先のうち900社(製造業607社、建設業82社、運輸業54社、卸売業157社)を対象に11月に実施し、571社から有効回答を得たもの。
2024年業況見通しは、改善が29.1(前年比2.5pt上昇)、悪化が16.4(7pt低下)となり、業況判断DI(改善ー悪化)は12.7(4.5pt上昇)となった。改善も若干の低下だったが、悪化が大きく低下して横ばいが増えたことから、底を脱したと見られる。
需要分野別(各企業の取扱製品のうち最もウェイトの大きいものの最終需要先)では、FA機器が関連する設備投資関連の業況判断DIは14.6で、2023年からのマイナス4.2ptから大きく上昇。コロナ禍の収束で市場に明るさが戻った2022年に対し、2023年は部材不足による製品の納期遅延の影響と半導体関連の不況が響いて景況は沈んだ雰囲気となっていたが、2024年は納期問題が回復し、半導体関連の回復への期待から再び明るさを感じている様子。
設備投資額の見通しは、増加が18.2(5.5pt低下)、減少が17.4(2.3pt上昇)となり、設備投資額DIは0.8(3.2pt低下)。設備投資には慎重となっている様子が見てとれる。
需要分野別の設備投資額DIでは、食生活関連が23.1(20pt上昇)と大きく、設備投資に積極的で、乗用車関連は5.4(3.6pt上昇)、電機・電子関連が1.5(6.0pt上昇)と回復。一方で建設関連と設備投資関連の設備投資額は減らす企業が大きくなっている。
このほか売上高・経常利益額の見通しは、売上高DIが17.1(0.7ポイント上昇)、経常利益額DIが7.2(0.4ポイント上昇)。価格の見通しは、販売価格DIが25.0(27.2ポイント低下)、仕入価格が34.7(19.9ポイント低下)。