【2024年 年頭所感】一般社団法人 日本半導体製造装置協会 会長 河合 利樹 課題解決へ有益情報を発信

皆さま、あけましておめでとうございます。

2023年を振り返ると、ウクライナ侵攻の長期化に加え、イスラエル紛争、米中経済摩擦などの地政学リスクの高まりや、欧米を中心としたインフレに伴う政策金利の上昇などが、マクロ経済の動向に影響を与えました。一方で、前年末に発表されたChatGPTをはじめとした生成AIが話題になりました。AI向けサーバーのこれからの力強い成長やオンデバイスAIなどへの発展を期待させるような、半導体産業の成長ポテンシャルを再認識できた一年となりました。

昨年の半導体製造装置市場に目を向けると、中国における投資の加速などがあったものの、全体としては調整段階が続いたため、一昨年に比べマイナス成長という結果となりました。しかしながら、年後半に需要回復の兆しが見え、今年は中盤にかけて徐々に回復し、その後再び成長軌道に乗ることが期待されます。遅ればせながら跳躍をはじめたウサギが、年が変わりタツに転じて上り竜となる、そのような市場の動きが予想されます。FPD製造装置市場についても有機ELの市場がスローダウンした影響で昨年度よりも市場は落ち込みましたが、今後緩やかに回復していくと予想されます。

1947年のトランジスタ誕生から76年、この間に半導体市場は5,000億米ドルを超える市場となっておりますが、2030年頃には1兆米ドルを超えるとみられています。これは、76年かけて成長してきた現在の市場規模と同じ規模の市場が、今後10年でもう一つ立ち上がることを意味しています。産業や社会のあらゆる場面でデジタル技術の活用が広がり、新たなライフスタイルを伴いながら、私たちの生活はますます便利に発展していくことでしょう。一方、サステナブルな世界の実現に向けては、急増する消費電力を抑え、気候変動に対応していくネットゼロ、PFASに代表される環境規制物質への対応、そして次世代の人材育成などが課題としてあげられます。こうした、世界に共通する課題に対しては、サプライチェーン全体で業界を挙げた取り組みが求められる中、当協会ではSEMIとも連携しながら、世の中に求められる施策に適切かつ迅速に対応すべく、引き続き会員企業の皆さまにとって有益な情報を発信してまいりたいと考えております。会員企業の皆さまとともに業界およびSEAJがさらなる発展を遂げられるように精一杯努めていく所存です。

本年が皆さまおよびご家族にとって、安全、健康で、実り多き年になることを祈念して、新年のご挨拶とさせていただきます。

https://www.seaj.or.jp/

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