【2024年 年頭所感】一般社団法人日本工作機器工業会 会長 寺 町 彰 博 世界潮流しっかり掴み即応

あけましておめでとうございます。

年頭に際し、所見を述べさせていただきます。

昨年の世界経済は、多くの国で新型コロナウイルス感染症禍からの経済活動の正常化への流れが継続する一方、ウクライナや中東情勢をはじめとする地政学的リスクの高まり、インフレの進行、米国の一部の金融機関の破綻に端を発した金融不安、そして不動産不況などに揺れる中国経済の低迷など、多くの懸念材料がある中で、先行きに対する不透明感がさらに増すこととなりました。日本においては新型コロナウイルス感染症が5類感染症へと移行し、本格的な開放へと着実に進みました。

一方で、当工業会に関連する動きを見ると、半導体関連は需要をけん引するドライバーが多様化する中で「ChatGPT」をはじめとした生成AIが登場し、新たな成長の活路としての期待が高まっています。また、国家が後ろ盾になった中央銀行デジタル通貨が本格的に導入される時代を迎えることにより、暗号化や認証技術に関連した半導体需要が増大すると思われます。そして安全保障の観点から半導体の自国生産を拡大する動きがある中、関連する投資は今後も大きな拡大が見込まれます。さらには、先進国を中心として生産年齢人口が減少する中で自働化、ロボット化の流れは着実に進展しています。そして世界的に脱炭素化の流れが強まる中で自動車業界におけるEV化や再生可能エネルギー関連投資の拡大など、私たちのビジネスチャンスは大きな広がりを見せています。

そのような中、生産財から消費財まで様々な分野において「見える化」や「自働化」が進み、機械装置だけでなく、それを構成する部品やツールなどにも高品質で壊れないという私たちの「強み」がますます求められています。しかしながら、より競争力を高めるためには、このような「強み」を磨き上げるのみならず、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推し進め、個の力として終わらせることなく相互の連携を深めることが重要であると考えます。

 さらに、事業環境が目まぐるしく変化する時代においては、世界の潮流をしっかりとつかんで、それに即応し、ベストよりモアベターを優先し、実行スピードを上げること、すなわち良いと思ったら早く実行に移して結論を出し、修正点があればより良くする、これを繰り返してこそ、チャンスを掴むことができると考えます。

 従いまして、このように環境が激変する中で、当工業会といたしましても、会員の皆様と強い信念を共有するとともに、新たなものを徹底的に開発、提案し、業界の発展に寄与してまいる所存です。

 最後になりましたが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。

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