1月31日から2月2日まで、東京ビッグサイトで開催された計測制御とオートメーションの専門展示会IIFESのリアル展が閉幕した。今回は195社が出展し、3日間を通じた来場者数は4万2346人となった。来場目標はオンライン展との合計で5万人としており、目標達成かそれに近いところまでいく見通しで数値的には問題ない。しかしイベントの盛り上がりや展示の質について出展者や来場者からは厳しい声も出ており、次回以降に向けて主催者・参加各社ももう一度考える必要がある。
来場者からの声で最も耳が痛かったのが「自分の求めている展示がない」ということ。特に大手メーカーではシステムやソリューションとその説明ばかりで面白くないという声を多く聞いた。
FA各社はコンポーネンツ販売からソリューション提案へとシフトするなかで、ブースと展示内容もそれに応じたものになっているが、工場の生産技術担当や機械メーカー、制御盤メーカー、FA商社といった顧客や見込み客がわざわざ展示会に足を運んで見たい・知りたいのは、普段は触れない新製品や製品実機であり、その話を聞きに来ている。出展者は普段は顧客起点や課題解決と言いながら、展示会では自分たちの商売の押し売りになってしまった。また、そうしたブースが多かったためIIFES全体としても他のイベントや展示会との差異、特別感が薄れ、OTのなかでも特に現場レベルのニーズに合致しているという最大の強みが失われてしまった感がある。
顧客・見込み客のニーズと自社の提案したいもののバランスを取り、コンポーネンツを誘客の見せ球として使い、ブース内でのトークや説明を通じてソリューションに持っていくような構成も必要だ。
また、電気や機械産業、社会インフラを支えているにも関わらず、計測・制御、FA業界の社会的な認知度・理解度の低さ、対外的な評価や地位の低迷も大きな課題だ。業界トレンドである半導体やロボット関連展示会は盛り上がり、食品や物流関連の展示会も活況だ。しかし、その頭脳となり、心臓となる計測・制御、オートメーションに陽の目が当たることは少なく、IIFESの出展者数や来場者数、新規出展に目立った進化は少ない。会場を見回してもスーツ姿の男性の来場者が9割以上を占めている感覚で、これも女性やカジュアルな格好の若い人も混ざってくる半導体やロボット関連展示会、さらには海外展示会とは大きく異なる。
第4次産業革命のはじまりと共にSCFと計測展が統合してIIFESになった。コロナ禍を経てDX・GXの新しい時代になり、今度はFA、計測・制御業界の魅力を伝え、この産業に新たな人と金を呼び込むような大きな進化が必要だ。