【IIFES取材レポート】IIFES 2024で気になった3つの技術トレンド ソフトウェア制御・制御盤DX・リニア搬送システム

1月31日から2月2日に東京ビッグサイトで行われたIIFES。前回2022年はコロナ禍の不安定な中での開催で、直前の出展や参加取りやめがあり、厳しく寂しい開催となったが、今回はコロナ禍明けて初の本格開催となり、リアル展の3日間で4万2000人超が来場するなど盛況だった。来場者からは「ソリューション展示ばかりで想定と違った」という厳しい意見もあったが、その一方で、生産設備や製造現場でのデジタル技術の活用の広がりや、人手不足対策やカーボンニュートラルに対応する多くの新技術や新製品が出ていたのも事実。会場で気になった技術トレンドを紹介する。

ソフトウェア制御へ関心の高まり

数年前から技術トレンドとして上がってきている「ソフトウェア制御」。専用設計されたハードウェア・ソフトウェアで構成されたPLCで制御するのではなく、汎用の産業用PCやボードコントローラにソフトPLCやコントロールソフトなどの制御用ソフトウェアを搭載して制御するもの。昔から使われてきた技術だが、デジタル時代に入り、データ流通と利活用を進めてOTとITの融合を進めるなかで、そのハードルを下げるものとして年々広がってきており、今回のIIFESでもそれらの技術展示に注目が集まった。


ソフトウェア制御を展示していたのは、IEC61499規格に準拠し、脱ハードウェア依存を実現するシュナイダーエレクトリック「EcoStruxure Automation Expert」や、汎用PCとソフトウェアによるモーションコントロールを実現するモベンシス「WMX3」など。アドバンテックは、WMX3やCODESYS搭載の産業用PCラインナップや、メイン展示でPCによるコンベア制御のデモを行っていた。
また東芝インフラシステムズは、将来に向けた実験的な取り組みとして「クラウド型PLC」を参考出品。自社開発のソフトPLCをクラウド環境に実装してクラウドから直接、装置の監視・制御ができる展示を行い、多くの注目を集めていた。

制御盤DXの進展 設計製造連携、配線作業の自動化・効率化

機械の頭脳であり心臓部でもある制御盤について、その生産性や品質を高め、人手不足や装置立ち上げの時間を短縮する提案がさまざまな角度から行われていた。
例えば、制御盤の設計工程で作成したデータを製造、保守保全といった後工程でも活用する設計・製造連携。ECAD、EPLANといった主要電気CADメーカーは、設計効率化に加え、機器レイアウトや配線作業の支援機能の提案を強化。さらに、ECADは日東工業のCABISTA、EPLANはリタールといった形で箱メーカーとの連携ソリューションによる板金工程の効率化を紹介し、さらに図研も米国のnVent HOFFMANとの連携を始めていた。
また盤用機器メーカーは、これまで以上にスプリング式のプッシュイン接続に対応した機器のラインナップを拡充。ブースではより手軽で簡単、確実な結線が可能になった新たな接続技術の体験などを行っていた。スプリング式の普及提案という同じ目的ではあったが、それぞれプロモーションもバラバラで、決して歩調は合っていなかったが、それでも制御盤用機器の配線接続はねじ式からスプリング式という声は大きく、この流れが各社の共通認識、将来像になっているというメッセージは伝わってきた。
スプリング式の普及にともなって電線の末端処理、フェルール端子の圧着の自動化提案も目立った。ECADソリューションズは設計・製造連携の一環としてシュロニガーやライオンパワーなどの電線加工機を展示したほか、EPLANもリタールの電線加工機等を紹介。また東洋技研はドイツGLW社製フェルール圧着機、壬生電機製作所はKomax社製のワイヤーストリッパーの取り扱いを開始するなど、自動化に向けた土壌が整備されてきている。

さらに競争激化する次世代搬送システムの行方

ロックウェル・オートメーションやB&R、ベッコフなど海外メーカーが先行していたリニア搬送システム。コンベアに代わる新たな搬送方式であり、高速搬送によるタクトタイムの短縮だけでなく、少量多品種や混流など柔軟な生産方式にも対応できるものとして注目を集め、ここ数年で化粧品や飲食料品業界での採用事例が出てきた新技術だが、昨年の国際ロボット展で三菱電機が参入を発表。さらにIIFESでは、すでに参入を発表していたシュナイダーエレクトリックが実機によるデモ機を出品したほか、オムロンも開発中の参考出品として展示し、主要プレイヤーが出揃った。

このほか、TSNなど進化・普及拡大する産業ネットワークを背景に、異なるネットワーク間のシームレスな接続やOTセキュリティ、OTとITの融合に関するソリューションや、カーボンニュートラルを背景とした生産設備のエネルギー監視と省エネソリューション、人手不足に対する設備のリモート監視など、機械や生産設備、さらには工場の高度化に向けた技術提案が多く展示されていた。

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