IPA(情報処理推進機構)は、2023年のコンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況をまとめた。OTセキュリティも話題になっているが、IT・OT問わず不正アクセスは年々増加傾向にあり、製造業でも被害が出てきており、原因の多くは古いバージョンの利用や修正プログラム等の未導入によるものとなった。
コンピュータウイルス・不正アクセスの被害を受けたものは、経済産業省のコンピュータウイルス対策基準、コンピュータ不正アクセス対策基準に基づいて、被害拡大と再発防止のために必要な情報をIPAに届ける義務があり、今回の調査は届出があったものを集計したもの。
2023年の不正アクセス届出件数は243件で、このうち実被害を蒙ったものは186件に上り、全体の76.5%を占めた。
不正アクセスの被害者(届出者)は法人が75.3%とほとんどを占め、業種別では、情報通信業が18.2%、卸売業・小売業が17.8%、製造業は3番目の10.7%、教育機関・学習支援業の10.7%と続いている。
攻撃の手口は、ファイル・データ窃取、改ざん等が168件で最も多く、なりすましが102件、不正プログラムの埋め込みが95件と続く。被害内容はファイルの書き換えが96件と最も多く、データの窃取・盗み見が84件、不正プログラムの埋め込みが79件となっている。
発生原因は、古いバージョン利用や修正プログラム等の未導入が最も多い48件、設定の不備が42件、パスワード管理の不備が26件。環境はオンプレミスが97件と圧倒的に多く、レンタルサーバーが57件、クラウド環境が36件となり、自社で管理しているオンプレミスサーバーのリスクの高さが目立った。
https://www.ipa.go.jp/security/todokede/crack-virus/ug65p9000000nnpa-att/2023-report.pdf