「金ない・人ない・情報ない」製造業を含む中堅・中小企業のDXやデジタル化が難しい理由はこの「3ない」に行き着く。そんな中堅・中小企業に対し、誰が、どんな支援を行い、導いていくのが良いのか。経済産業省は中小企業DXの支援の仕方について「DX支援ガイダンス:デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援アプローチ」としてまとめ、支援機関向けの事例集も発行している。
中小企業のDX推進を支える支援機関
中堅・中小企業の多くは各地域に根差しており、3ないの状態のなか、独力でDXを推進するのは非常に難しい。
そこでDX支援ガイダンスでは、DX支援機関が中堅・中小企業に伴走して支えるアプローチが有効とし、支援機関に適した企業として、取引先企業や地域経済と運命共同体の関係にある地域金融機関、今後の新たなビジネスモデルの確立の重要性が高い地域 IT ベンダー、本業支援の中核としてDX支援に取り組む地域のコンサルタントを挙げている。中堅・中小企業は外部の力を借りてDXを推進して業績を上げ、支援機関は成長に通じた関係強化と新ビジネスの創出をすることで、地域経済が活性化できて好循環が生まれるとしている。
間接業務の効率化が支援のカギに
中堅・中小企業への支援アプローチとして重要なのは、①中長期的に成長を見守ること、②身近で小さなデジタル化から取り組み、成功体験を繰り返させること、③経営資源を本業に集中できるようにすることを挙げている。特に、直接収益を生まない間接業務に積極的にデジタルツールを活用して省力化を推進することをポイントとし、財務会計や勤怠管理、人事、購買業務等に手を入れて標準化・効率化することで支援機関の次のビジネスにもつながってくるとしている。
また支援企業は、取引先の中堅・中小企業がDXを自走することを目標とし、DXを拡大・実現させるためにも1社で支えるのではなく、支援企業同士が連携して支え、強み弱みを補完し情報共有することが重要だとしている。
FA企業はどうする?
ガイドラインでは上記のように地域の金融機関やITベンダー、コンサルタントを支援機関に適した企業として挙げているが、製造業は小売やサービス業とは異なり、ものづくりの現場があり、OTという専門領域がある。そのため中堅・中小製造業のDX推進には地域にあるFAメーカーや商社の支店、地場の商社やシステムインテグレータ、エンジニアリング会社の協力は不可欠。逆にこれらのFA企業が支援機関となってDXの主導権を握れるかどうかで、取引先の中堅・中小製造業のものづくりの強化の度合い、FA企業の今後の成長が変わってくる。
地域の中堅中小製造業のDX推進に適した企業はFA企業であり、地域のFA企業はDX推進役として自覚を持って素早く動き、足りない部分を連携して補うことが重要だ。
https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240327005/20240327005.html