「街が綺麗」「食べ物が美味しい」 治安が良」 など海外からの旅行者が日本を楽しむ姿が様々なところで伝えられている。日本がインバウンドに力を入れ始めてから20年あまり。オーバーツーリズムなど課題も出てきてはいるが、観光産業の振興は概ね成功し、旅行客を獲得できている。特に日本人が気づかなかった日本の良さや魅力を旅行者が教えてくれ、客観的に日本の長所と短所を示してくれている。今後も彼らの声に耳を傾け、それをもとに改善し、発展につなげていきたい。
「失われた30年」など日本を卑下し、世界で存在感を失っているといった意見を最近はよく見かけるが、実はそんなことはまったくなく、在日ドイツ商工会議所がまとめた「日本におけるドイツビジネス2024」では、ドイツ企業のグローバルビジネスにおける日本市場の売上は世界でもトップ5に入り、セールス上で重要な市場と位置付けされている。また日本にはドイツ企業にとっての競合企業も多く存在し、その動向をチェックする必要があり、事業戦略上、放っておけない市場でもあるとしている。さらに、日本企業はアジアに強い影響力を持ち、在日ドイツ企業がアジア市場に食い込んでいくためにも日本企業との協力は欠かせず、日本にはパートナーとその候補が沢山存在する市場という側面も持っている。ドイツにとって日本はお客様であり、敵でもあり、協力相手でもある。複雑で難しい関係にはあるが、それでも日本市場と日本企業を高く評価している。
人口減少、円安、物価高など日本の状況は難しくなってはいるが、現実には海外から観光客を呼び、リピーターも増やしている。産業面でも、半導体をはじめ、日本国内への投資も呼び込むことができている。円安の追い風があるのは確かだが、もともと日本に魅力と実力がなければ観光客も来なければ投資もされない。日本には旅行先としても、ビジネス向けの市場としてもポテンシャルがあり、それが今の状況につながっている。世界が不安定で不確実な時代、日本はパッシングされる苦しい時代を経て、逆に安定感のある信頼できる貴重なプレイヤーとして希少価値は増している。日本と日本の製造業には人を喜ばせる力がある。今こそそれを発揮する時なのだ。