2028年に2兆円を突破 協働ロボット市場も2430億円に
富士経済は、日本だけでなく世界的に課題となっている人手不足や人件費の高騰により需要が高まっている製造業向けロボットについて世界市場を調査し、2023年には1兆3202億円から2028年には2兆1919億円まで拡大すると予測し、今後も右肩上がりに成長する見通しを示した。
近年の製造業向けロボット市場は、スマホや半導体、自動車関連での需要増加にによって拡大してきたが、2023年は設備投資の抑制によって縮小し、特に中国の景気悪化が急ブレーキとなった。とはいえ世界の自動化ニーズは高く、2024年に市場は回復に向かい、2028年まで成長を続け、2兆円を超える見通しとなっている。
地域別では、アジア市場の勢いが強く、世界最大の需要地である中国は2024年に回復へ向かい、それ以降は拡大路線に戻る見通し。半導体の国産化への注力により、ウエハ搬送ロボットの需要も増加すると見られている。協働ロボットも需要も急増し、中国ロボットメーカーが販売を伸ばしプレゼンスを高めている。
韓国は自動車関連、半導体・液晶関連が主要な需要先となり、溶接・塗装系、組立・搬送系、クリーン搬送系ロボットの需要が中心。2024年はスマホ関連の設備投資は丁重だが、ディスプレイの設備投資が回復することから拡大を予想している。
台湾は、EMS、半導体・液晶関連での組立・搬送系、クリーン搬送系ロボットの需要が中心となっている。
ASEANやインドは、自動車関連メーカーの生産拠点が多いタイやインドネシアに加えて、近年はEMSやディスプレイメーカーがベトナムやインドに生産拠点を展開している。中国リスクからこれらの地域への生産シフトも活発化しており、需要増加が期待されている。
今後の大きな伸びが期待されるのが協働ロボットは、ハンドやビジョンなど周辺機器を充実させることで需要先のすそ野が広がり、市場は中国を中心に拡大。2023年の世界市場は1232億円だったが、2028年には2倍の2430億円になる見通し。これまでは欧州系メーカーが市場拡大をけん引してきたが、近年は台湾系や中国系メーカーが実績を伸ばし、多数のメーカーが参入している。日本では、安全性に対する要求が高く、センシティブなユーザーも多いため、大量導入に至るケースは限定的。それでも人と協働し、手軽に設置・運用できることから市場は堅調に伸びていくと見られている。