工場の移転や新設のニュースを見ていると、最近は2つのトレンドを感じる。ひとつはサステナビリティへの取り組みとしての太陽光発電をはじめ再生可能エネルギーの導入。やっていないケースを見つけるのが難しいくらい、新設工場では取り組んでいる。もう一つが「コミュニティゾーン」の設置。分かりやすく言うと、工場見学や顧客との共創スペース、近隣住民との触れ合いエリアなどの整備だ。工場を開放して「みせる」ことを顧客や住民との関係構築に有効利用するケースを多く見かける。昔からよくある話ではあるが、増えているように感じる。
ガリガリ君のアカギ乳業の本庄千本さくら「5S」工場では「見せる・観せる・魅せる」の3つの「みせる」をコンセプトに工場見学を受け入れている。内部の生産や品質管理を見せ、外観は南国風のヤシの木と巨大なガリガリ君看板で観せ、工場見学を楽しめる仕掛けで魅せているとのこと。工場見学は予約抽選制で、6月まではほぼ全日埋まっている状態。埼玉県本庄市で決して交通アクセスは良い訳ではないのに大盛況だ。消費者との接点を多く作り、ファンにする。そのサイクルをうまく回している。
FA機器は飲食料品や消費財とは性格が異なり、誰でもオープンに工場見学を受け入れるような類のものでもない。しかし、だからと言って原則非公開で、取引先の監査目的以外を受け入れていないのも勿体無い。FA機器やサービスが作られている工程、実際の現場でも使われて効率化につながっているケースをみせることは最強の販促ツールだ。優れた技術力を具現化しているのが現場であり、見せられる状態にして、新たな見込み顧客や取引先を多く呼び込み、一緒に見ながら提案しよう。見せて、観せて、魅せて、店(みせ)るのだ。