ドイツは世界のFA・製造業の中心国であり、インダストリー4.0をはじめ、多くの製造業のトレンドを作り、主導してきた。日本のFA業界とってはライバルであり、追うべき背中である一方、重要なパートナーでもある。事実、多くのドイツ企業が日本市場に進出し、いまも日本の製造業を日本企業と一緒になって支えている。
そんなドイツとドイツ企業にとって日本市場とはどんな存在であり、どう評価しているのか?在日ドイツ商工会議所はKPMGドイツと共同で在日ドイツ企業に対してアンケートを実施(回答164社)し、「日本におけるドイツビジネス2024」としてまとめた。
在日ドイツ企業の日本での事業活動の現状について、日本市場の立ち位置は、54%の企業で日本はドイツ本社グループの世界売上高と利益でトップ5に入る重要市場。円安ユーロ高、コスト競争力、ビジネス環境、高度な技術とインフラ、高いスキル人材が存在し、ドイツ企業にとって日本は魅力的な事業拠点となっている。
現在の日本市場の景況感は良好。2023年は92%の企業が日本市場で利益を上げ、利益率10%超の企業は21%に上るなど、世界的な不透明感の影響は抑えられている様子。
そんなドイツ企業が感じている日本市場の利点や強みは「安定性」。94%とほぼすべての企業で経済の安定性と回答し、93%がビジネス関係の安定性と信頼性と答え、安全性や社会的安定性(91%)、優秀な人材(90%)、高度に発達したインフラ(87%)と続き、日本の経済と政治、社会の安定性を高く評価している。
日本市場に拠点を置く理由について、81%が販売拠点として高い潜在力があると回答し、次いで日本市場のトレンドサーチ(62%)、競合となる日本企業のリサーチ(57%)と続いた。日本には製造業をはじめ顧客やパートナーとなる企業が多数存在する一方、競合となる企業も沢山ある。単なる販売市場ではなく、トレンドや競合他社をリサーチする意味でも重要な市場となっている。
またアジアを中心に第3国市場でのビジネス拡大のための足がかりとして日本を利用していることも多く、日本企業とのパートナーシップで第3国市場へのビジネスに参加した企業は53%に上った。円安による日本の対外直接投資の減少や各国が国内事業を現地化して自国での実施を強化していることなどで前年より参加企業は減っているが、日本企業とのパートナーシップ活用の重要性は依然として高く、日本がビジネス上で重要なパートナーとなっている。
直近の日本市場のビジネス見通しについては、2024年は売上高と利益が増加すると回答した企業が6割を超え、2025年はさらに増加して7割を超え、市場見通しはポジティブな反応。ただし日本への投資は限定的で、日本での雇用に関しては増加するが、人材確保は経営課題として上位に上がっている。
日独間の協力分野について、ビジネスチャンスと見ている分野は環境保護が53%、科学・技術・イノベーションが49%、エネルギーが42%となり、DXが33%、第3国市場ビジネスが18%と続いた。