国を挙げて電気業界の未来へと前進するドイツ 果たして日本は?

ゴールデンウィーク前にドイツへハノーバーメッセの見学に行って来た。円安の影響による旅費滞在費の高さに狼狽したが、それでもヨーロッパの産業界の現状と目指すところ、最新トレンド、現地の生活の様子を感じることができ、日本では得られない刺激や気づきもあり有意義な旅となった。

最も大きく感じたトレンドは「電化の進化をいかに実現するか」ということ。これまで、発電所で大規模に電気を作り、消費地まで届け、それを特別に意識せずに使っていた時代から、もっと効率的に作り、送り、貯めて、使う形にならなければいけない時代に直面し、そのために発電、送電、蓄電、電気使用の全領域を変革しなければいけない。ドイツ電気電子工業連盟(ZVEI)はALL electric societyをビジョンに掲げ、出展各社からもそれに関連した展示も多く見受けられ、ドイツ、ヨーロッパの電気業界の未来へのストーリーと、そこに向けた本気度を見ることができた。やはり国や地域を挙げて進める取り組みは力強く、他国にとっては脅威でもある。こうして世界のトレンドは作られ、進んでいくことを改めて実感した。


翻って国としての日本、電気業界は未来像をどう描いているのだろうか?たぶんドイツと同じようなことを考え、実際に進んでいるのだろうが、計画性を持って歩調を合わせて進んでいるかは不明だ。ただ世界の潮流に流され、追随し、各社が自助努力で対応している感じだ。最前線にいる優秀な民間企業が頑張っているからこそ日本の電気業界がそれなりに競争力を維持できているが、人手不足と激しい国際競争のなか、現状のままでは未来は厳しい。いま日本は土俵際にある。その一方で人々の価値観も大きく変わっており、過去のしがらみから決別して大きく変わるチャンスでもある。いまこそ産官学で力を結集し、次の電気業界の時代を考え、作っていかなければならない。

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