金を得たくば土俵に上がり、名乗りを上げよ

相撲では「土俵には金が埋まっている」という格言がある。稽古を積み、場所で勝ち進み、番付が上がるに従って給金が上がり、人気が出れば取り組みに懸賞も付くようになる。自分の身ひとつで大きな金を得る事ができ、分かりやすい立身出世の道が開かれている。

しかし相撲界は伝統と格式を重んじる伝統文化であって一般人には計り知れない世界が広がっている。単純な強さだけでなく、強い運も必要だ。そんな厳しい世界で一攫千金を夢見て部屋の門を叩き、勝負の世界に身を置くのは並大抵の覚悟ではできない。もともと相撲は神事から始まり、土俵やそこで戦う人々が神聖なものと見なされるのは当然だとしても、ひと勝負あたり数秒から数十秒、どんなに長くても数分で終わる一瞬に人生を賭ける姿は、まさに「力士」という名称にふさわしい。つわものが集まる特別な場所へ踏み込み、周りにひるまずに名乗りを上げ、真正面からぶつかり合って戦う。だからこそ金を得られるのだ。
FAの世界も弱肉強食の勝負の世界だが、何かのきっかけで金星、下剋上を起こすことができる。そのためには製品を作って「市場」という土俵に上がるだけでなく、そこで名乗りを上げて自らを知らしめ、お客様に選ばれるという戦いに勝たなければならない。ひっそりと静かに特定顧客のみへのサービス提供するのも生存戦略のひとつの手段ではあるが、それで生き残れるだけの自社の価値を高めるには、土俵に上がって強く戦う姿を見せて評価される必要がある。土俵に上がらなければ勝負はできない。付加価値とは自ら勝ち取るものなのだ。

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