FA企業の役割高まる チャンスを活かせ
中小企業庁は、2024年版の「中小企業白書」と「小規模企業白書」をまとめた。中小・小規模企業はコロナ禍の落ち込みから回復傾向にあるが、人手不足の深刻化が一層進み、生産性向上が必須な状況にある。その対策として自動化・DX推進が今まで以上に強く求められており、FA企業にとって好機到来が到来だ。
白書によると、中小企業の業況感は、2023年は年末にかけて売上げの好転に一服感が見られたものの、中小企業の業況判断DIは高水準で推移し、状況は全体として改善基調が続いている。その一方で、原材料高や求人難が経営課題として上がっており、人手不足がより深刻化。この数年、人手不足対策として女性や高齢者の就業、副業等を推進し、実際に広がってきたが、それも頭打ちになってきている。さらに、時間外労働の上限制限によって雇用者1人あたりの労働時間も減少傾向にあり、人材・労働力の供給面での制約、不安が増してきているとした。
こうした人手不足の状況に対し、人材の採用はもちろんのこと、省力化や自動化に向けた設備投資も重要な要素として挙げている。これまで省力化や自動化投資は生産性向上を進める大企業が中心となり、中小企業は資金面の弱さから保留や後回しになっていたが、人手不足の深刻さが加速していることで中小企業も自動化投資から目を背けられなくなっている。また人材確保や定着のために賃上げ等にも応じ、支出が増えた分を埋める、上回るための売上増加が必要となっている企業も増え、省力化・自動化は不可避で、設備投資へ待ったなしの状況になっている。
実際、中小企業は投資に積極的な姿勢を見せており、経営方針として「新規需要を獲得するための行動が必要」または「付加価値を高めるための行動が必要」と考える企業は9割に上っている。投資行動に意欲的な中小企業は経常利益、労働生産性を高めている傾向にあり、変化する外部環境に対応するためにも小さな取り組みでも行動していく姿勢が求められる。投資の中身についても、人材育成など人への投資、設備投資、M&A、研究開発投資が有効であり、成長に向けては自社にとって最適な投資活動を検討していくことが必要とし、さらに成長投資に向けた資金調達手段の検討も必要としている。
白書では、中小企業・小規模企業を取り巻く状況分析とその対策、環境変化に対応する中小企業の分析、中小企業・小規模事業者を支える支援機関の取り組みの紹介のほか、参考事例集としてコロナ禍を乗り越えた取り組みや事業承継、省力化投資、売上確保、支援機関との連携などの具体的な取り組みを紹介している。
https://www.meti.go.jp/press/2024/05/20240510002/20240510002.html