主なFA・電気・機械部品メーカーと商社の2023年度決算がほぼ出揃った。多くの企業が上期は好調、下期には苦戦して、結果として前年に比べて厳しい結果となったが、中長期で見ると地道に成長のステップを進んでおり、稼ぐ力は強化されている。2024年度は上期は低空飛行が続くが、下期には回復するとの声も多く、再度の成長に期待がかかる。
2023年度は、全体として、この１・２年続いてきた部品不足と納期問題もメーカーの生産回復と強化によって解消に向かい、昨年は受注残を順調に消化して好業績となったが、2023年度は上期は受注残の消化継続で順調だったのに対し、下期は受注の先食いと供給量の急増というこれまでの反動により在庫がだぶつきの影響を大きく受けた。一方で、為替影響と価格改定の効果によって売上は増加し、受注低迷の影響を最小限にとどめた格好だ。
ただし製造業の設備投資を中心とするFA事業領域は非常に厳しく、FA関連事業の比重が大きい企業ほど苦戦を強いられた。特に半導体業界の設備投資サイクルの抑制期とも重なって半導体製造装置向けが停滞し、多くの企業の海外事業における主力市場である中国の景気低迷の影響も大きかった。また近年ずっと急成長・急拡大を続け、多くのFA企業が成長分野として取り組みを強化していたロボット関連市場も、中国市場の低迷によって受注・生産・出荷のいずれも前年を下回り、FA事業の苦戦の要因のひとつともなった。
2024年度の各社の見通しについても、前年下期からの低迷継続の影響で上期は厳しく、中国の景気回復への疑義から下期の回復を確実と見ている企業は決して多くなく、慎重な数字となっている。
総じて、2023年度は前年比で見ると成長は鈍化またはストップした形だが、10年単位の長いスパンで見ると、コロナ禍を経ての特需だった2022年度、自動化・デジタル化の先行需要が大きかった2017年度に続く高いレベルにあり、成長途中の踊り場にあり、特需反動を吸収した1年であり、悲観的に見る必要はない。
2024年度以降についても、人手不足は少子高齢化が急速に進む日本だけの話ではなく、世界的な課題として広がっており、その解消策としての自動化に対する期待は膨らむばかりであり、市場の見通しは明るい。現実のところ、自動化・デジタル関連の需要はコロナ禍前からあり、大企業のなかでも早くから取り組んでいた企業の一部の需要を消化しただけ。それに続く大企業の取り組みは現在進行中であり、さらに、コロナ禍を経て、社会全体として人手不足解消とデジタル投資の必要性の認識が高まり、様子見だった大企業や中小企業の需要意志も喚起されている。その意味では、FA・製造業界の自動化・デジタル化市場は未消化の余地が多く残り、本格化はこれから。その需要を確実に刈り取っていくためにも一層の提案強化が必要となる。
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