セーフティ機器の独・ピルツ社は、2023年の売り上げが過去最高となったことを明らかにした。23年の売上高は22年比7・3%増の4億3300万ユーロで、約2946万ユーロ増えた。
地元のドイツで初めて1億ユーロ超の売上高を達成したのをはじめ、イタリア、韓国、スイス、オーストリア、英国、トルコなどで売り上げを伸ばしている。輸出比率75・4%で前年比1・1%減少した。
23年は、年初は部品調達難と高水準の需要が続いたことで夏頃までは3交代制で生産を進めたが、第2四半期からは、経済環境の全般的な悪化もあり、需要が減りはじめた。
製品やソリューションはどの領域でも同程度成長したが、特に好調だったのは小型安全コントロールシステム「PNOZmulti」、センサ技術、およびサービス分野となっている。
同社は24年を厳しい1年と展望しているが、反転の兆候も見られる。年初の受注残が少ないため生産稼働率も低下しており、また、在庫縮小期間が数カ月続くと推測している。
23年6月に新しいEU機械規則が公示された。この機械規則では、初めてセキュリティがエンジニアリング全般において必須要件となっている。これにより機械メーカーは、自社の次世代の機械制御部、およびネットワークインフラにおいて規定のセキュリティ仕様を考慮しなければならなくなる。
同社では新しい法的要件に対応するサービスやオートメーションソリューションをアップデートして提供を開始しており、安全オートメーションメーカーとして機械安全と産業サイバーセキュリティの両方をカバーするサービスとソリューションで取り組みを強める。
今年4月に開催された「ハノーバーメッセ2024」で同社は、初めての非独自仕様の標準化された通信システムIO-Link Safetyのための包括的システムを発表した。
また、新しいサービスパッケージ「ISCS- 産業サイバーセキュリティ・コンサルティングサービス」も開始している。このサービスは、機械の産業サイバーセキュリティの新しい要件を満たせるように企業各社を支援するもの。最初のパイロットプロジェクトとして、ドイツとオーストリアですでに開始している。