SRA、Catena-X、欧州電池規則対応など支援

SRAは、欧州を発端とする「Catena-X(カテナエックス)」や欧州電池規制など一連の「製造業における環境データおよび品質関連データ等の企業間での共有化」の動きに対応し、企業向けサービスを強化する。

「Catena-X」と欧州電池規制(デジタルバッテリーパスポート)

製造業では、サプライチェーン全体の透明性向上と環境負荷の削減に焦点を当てたルール整備が欧州主導で進められている。その先行的なものとして自動車業界向けのデジタルプラットフォーム「Catena-X」が立ち上がり、自動車製造企業、自動車部品サプライヤ企業や素材メーカーなどの企業間で、それぞれの製造に関する情報共有と連携を可能にする仕組みとして欧州を中心にすでに運用が始まっている。 またそれに関連する規制として、「欧州電池規制(デジタルバッテリーパスポート)」も挙げられる。この規制は、主に電気自動車の車載蓄電池製造工程における温室効果ガス削減を目指し、欧州域内で販売されるほぼ全ての中・大型蓄電池を対象にしており、他のルールに先行して適応が進んでいる。

インダストリー4.0実現の鍵「OPC UA for AAS」

SRAはこれらの動きにいち早く着目し、インダストリー4.0における産業用通信での仕様推奨規格とされている「OPC UA」の知見を活かしたサービスを強化するため、国内における唯一の認証取得済みOPC UA Server SDKのメーカーであり、随一の情報モデルの知見と対応実績を持つEmpress Software Japan社(以下ESJ)の協力の下、Catena-Xや欧州電池規制などへの対応支援を開始する。

出典:OPC Foundation

OPC UAは製造業における通信規格のデファクトスタンダードとして世界中で採用されており、その背景には「インダストリー4.0」の動きが挙げられる。インダストリー4.0実現のためには、特性が異なるさまざまな機器やシステム連携が求められており、OPC UAはそのようなニーズに応える形で普及し、標準的に活用されている。また、もう一つの鍵として「AAS(アセット管理シェル)」と呼ばれる概念が注目を集めている。
これは、工場内のあらゆる設備や機器、人、システムなどのアセット(資産)をデータ統合し、工場における全体を管理・見える化させるための考え方や規格であり、先ほど述べた「Catena-X」もこのAASの仕様をサポートしている。OPC UAは、情報モデルにおいてOPC UA for AASとしてサポートしていることから、OPC UA for AASを採用し工場内のデータを統合し対応させることが、将来Catena-Xなどの企業間取引におけるオープンなプラットフォームにスムーズに対応するための重要な要素となると言われている。SRAおよびESJでは、自動車産業に携わる製造企業の「Catena-X」およびデジタルバッテリーパスポートのデータ共有に有効なOPC UA及びAAS対応への支援を開始する。

データ共有の仕組みに求められる、高いセキュリティレベル

製造工程におけるCO2排出量監視は業界全体で少しずつ進んではいるものの、一朝一夕でできるものではない。また、企業内においてのデータを通信・共有するためにも当然高いセキュリティレベルが求められるが、異なる企業間のデータ共有のためには、自社システムと外部プラットフォームとの連携のためにさらに高いセキュリティレベルが必要となる。一方で、このデータ共有については、肝心のルール整備が現在進行形となることから、現時点で確定的なソリューションとしての提供は不可能なため、多くの先進実証実験に参加しているESJと協力して、ルール整備の動向を見据えながら柔軟にサービス強化を進めるとしている。

欧州主導のセキュリティ関連法「CRA(欧州サイバーレジリエンス法)」

セキュリティに関しては同じく欧州発信のCRA(欧州サイバーレジリエンス法)の策定が進められており、日本国内でも特に輸出を行っているセットメーカーを中心に対応への検討が始まっている。SRAとESJは、CRA対策ソリューションの展開も開始する。

CRAで求められるのは
1. セキュリティバイデザイン(通信のセキュリティ・データ保存のセキュリティ)
2. プロセス認証対応
3. 脆弱性対応

の3つのファクターと言われており、先に述べた高度なセキュリティ性をもったOPC UAを活用することで実現する。セキュリティ性の担保のために、データを暗号化し保存する仕組みにも適応。ESJの製品である”暗号化が可能なEmpress組込みデータベース”をOPC UAのヒストリカルデータ(HDA)として利用し、CRAにおける「セキュリティバイデザイン」をクリアできる。

また、脆弱性対応で重要なのは「脆弱性の早期発見」だが、SRAとESJでは保守サービス内でOPC UAに含む脆弱性管理サポートを提供しており、これに対応することができる。もう一つの重要な脆弱性対応策として、遠隔パッチ更新や遠隔バージョン管理なども必要となるが、ESJがリリース済みの対応製品「Empress iData Data Quest」を活用することで対応する。同製品は、すでに日本中に展開されているコインランドリーシステムでも採用され、クラウドを活用したBtoCサービスとして長年の実績を積んでいる。これらのソリュ―ションを通じ、CRA対策においての脆弱性運用管理及びセキュリティ対策についても、実績ある技術を活用した支援を行うことができる。

SRAでは、今後、目まぐるしく変化する外部環境に合わせて、先進的な取り組みとして様々な製品とサービスを用意し、自動車産業にとどまらず、製造業に関係する企業の皆様に提案・提供を行っていくとしている。

株式会社SRA:https://www.sra.co.jp/opcua/visualization.html

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