最近、私自身トラブル対応をする機会が減ってきました。しかし、久しぶりに現場でトラブル対応をしたことで、改めて感じたことを皆さんに共有したいと思います。
設備の担当をしていると、トラブル対応は避けられません。新入社員の頃はトラブルを避けるようにその場から逃げることもありました。しかし、途中からはトラブル対応が楽しく感じるようになり、大変ながらも多くの記憶に残る経験をしました。トラブル対応のおかげで様々なスキルが身に付き、自分の成長を実感しています。
特に、「現場」「現物」「現実」「原理」「原則」という三現主義や派生した五ゲン主義の重要性を感じます。デジタルトランスフォーメーション(DX)やリモートワークが普及している現代においても、現場で直接確認することの価値は変わりません。設備のデータを収集できる環境があるならば、そのデータを活用しつつ、実際の現場で感じる情報も大切にし、質の高い対応ができると思います。
最近では、カメラやドライブレコーダーを設置し、PLCと連動させて、現場にずっといるのではなく、トラブルが発生した時にトリガーがかかり、その前後の映像が撮影される設備もあります。また、設備と連動していなくてもタブレットやカメラで動画をスロー撮影することで、昔に比べて何が原因でトラブルが発生しているか正確に把握し、対応できるようになりました。
少し昔、私がメインでトラブル対応をしていた時は、トラブルが発生するまで現場の設備の前に張り付いて、トラブルを見逃さないように観察していました。よくあるのが、現場に行くとそのトラブルが発生しなくなり、現場から離れるとトラブルが発生するという状況です。まるで生き物のように設備に試されているかのように感じることがありました。設備のトラブル対応を経験した方には、このような経験はあるのではないでしょうか。
そんなトラブル対応ですが、私が心がけていることが3つあります。
まず1つ目は、当たり前のことですが、トラブル対応の際には何が起きたかを把握し、冷静に状況を判断すること。2つ目は、なぜそのトラブルが発生したのか、一番考えられる要因から調査を進め、原因を特定すること。一番に考えた要因でなければ、次に考えられる要因を上げ、一つずつ潰していく。この繰り返しです。3つ目は、報告を適宜行い、復旧までの時間や品質影響、影響範囲などを上司や関係者に伝えることです。これらを意識しています。
トラブルは完全に無くすことはとても難しいですが、トラブル対応の経験は自分自身の成長に繋がると感じています。問題解決の経験は、設備の設計や改造時にメンテナンスする方の目線で考えることもできるので、勉強になることも多いです。また、トラブル対応中は現場の方々からのプレッシャーの中で作業するため、知識を習得できます。そして、深く関わることでその設備や機器や部品についての理解が深まる良い機会でもあります。さらに、現場や上司、関係者への報告が求められるため、説明する力も向上します。
時にはトラブル対応に時間を費やし、怒られることもありますが、経験を重ねることで次第に冷静で的確な対応ができるようになります。現在は現場で直接対応することは減りましたが、過去の経験が判断や解決の助けとなり、今の自分があるのだと感じています。
トラブル対応は成長のチャンスであり、その経験が将来に活かされると実感しています。
【著者プロフィール】
シマタケ
共働きの子育て会社員。工場で15年間働く電気エンジニア。現在は某製造メーカーの生産技術担当。エネルギー管理士、第3種電気主任技術者、第2種電気工事士
機械保全技能士電機系2級、工事担任者(現DD第1種)、2級ボイラー技士、消防設備士(乙6、7)、危険物取扱者(乙4)など多数の国家資格を取得。心理学を勉強中でメンタルケア心理士、行動心理士も取得。
「電気エンジニアのツボ」でブログとYoutubeで情報を発信中