新しいモノづくりの考え方 【第3回】これからの日本式デジタル化②

先回、私がYouTube チャンネルを立ち上げたことをお話しし、スマホさえあれば誰でもお金をかけずに始められると申し上げましたところ、早速「本当にスマホだけでやってるのですか?」というご質問を戴きました。

今現在を正確にお伝えするのであれば、始めた当初は本当にスマホのみでしたが、今は多少の器材を購入し使っています。実はこの経緯は私が実際に中小規模のモノづくり現場でカイゼンをするプロセスと同じで、特にこだわっていることなので、今回はそこのところについてご説明をさせていただきます。

コロナ禍では緊急事態宣言の発令で、それまで出張の多かった私が家から全く出られなくなり、突然に膨大な手待ち時間が生まれました。そこでYouTubeに挑戦しようと決めたのですが、もし忙しいときにYouTubeを始めていたら、すべて専門家に頼ったと思います。

私は前からアナログ人間から脱皮することと、若い人を中心により多くの人との接点を増やしたいと考えておりましたので、できる限り自力でYouTubeをやると決めました。専門家に頼むと自分が学ばないのと、お金が膨大にかかるからです。そこで、先ずは一人で自分のスマホで動画を撮ってみました。三脚がないので厚い本を何冊も積んで台にして、角度はセロテープを使って調整しました。夜間に部屋の明かりだけで撮ったので顔が暗く映り、スマホのマイクで録音したので聞き取りにくいところもありました。

早速、三脚とライトそしてマイクが必要になったのですが、驚いたことにすべて100円ショップで買えました。さすがに100円ではありませんがせいぜい500円くらいでした。もちろん少しは高価な器材も使っています。Amazonで買ったのですが、二人で話し合う時用のピンマイクは2000円、外で歩きながら撮影できるスタビライザー付きのカメラは3万円でこれが一番高価な器材です。現場で必要と分かったモノしか買いません。もし最初から外部の専門家に依頼していたら、必ずしも必要でないモノも含めてとてつもなく高価で立派な器材が用意されたでしょう。カイゼンの心の「金で逃げるな、チエで勝て」の実践ができました。

これまでYouTube チャンネルを続けていますが、まだ目に見える成果にはたどり着いておりません。その理由は新しいことを自分で勉強しているので、データ分析や試行錯誤が必要で時間がかかっているからです。誰にも先が読めない変化の時代にはすぐ諦めないしつこさが大切だと思っていますので、このような現場中心のすぐやるカイゼンアプローチを使って実践しています。自分でできることは極力自分ですることでより多くのことを学ぶことができ、それをまとめてカイゼンのレベルアップのお役に立ちたいと思っています。

以前はデジタル化で少し後れを取っていた私ですが、少しずつ追い付いています。そしてこれは絶対に避けて通れない道だと確信しました。これからモノの作り方、売り方、そして人の育て方など、すべてが変わるということが今回のチャレンジで分かって参りました。「食わず嫌い」禁止!皆で勉強して新しい時代に大いに飛躍いたしましょう!

■プロフィール

柿内幸夫
1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。
経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長改善コンサルタント、工学博士技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授
著書「カイゼン4.0-スタンフォード発企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所<101項>」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など

一般社団法人日本カイゼンプロジェクト
 改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
■詳細・入会はこちら

https://www.kaizenproject.jp

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