かつてのロボットは技術は成熟しておらず、アプリケーションの数は限られ、導入運用するにも専門家頼みだった。ロボット本体を中心とするハードウェアも高額であり、設備投資をしてそれを回収できるのが自動車やエレクトロニクスなど大手製造業の工場に限られていた。だからこそロボット=産業用ロボットであり、FA用途が主となっていた。しかし時を経て、特に協働ロボットの登場によって新たな局面に入り、もはやロボット=製造業、FAのものという枠組みには収まらなくなっている。
協働ロボットは安全性が高いことに加え、ダイレクトティーチングやシミュレーションなどプログラミングが簡単で使いやすいユーザーインターフェイスの進化も促し、専門家以外にもティーチングの裾野を広げた。価格についても、メーカーの数が増え、高い精度や信頼性を求めるアプリケーションでなければ、比較的安価なものが市場に出回っている。またロボットの形態も、アーム型だけでなく、AMRのような自走式搬送ロボット、それに類するお掃除ロボットや巡回警備ロボット、配膳ロボットも普及している。さらに言えば、建機や重機、農機のロボット化が進み、ドローンは空中移動する飛行ロボットとして各方面で活用されている。二足歩行や四足歩行のロボットも開発が進み、ロボット産業の裾野は広がっている。
もともとロボットは大量生産に必要なものとして工場に導入され、いまは人手不足対策としての採用が活発だ。同時に、より過酷で不確定要素、環境変動のある屋内外の公共空間にも採用が広がっている。ロボットは、もともとはFAを起点とし、技術が成熟するにしたがって周囲の領域へと浸み出していき、今に至る。FA企業にとっても親和性は高く、このチャンスを逃す手はない。FAに軸足を置きつつ、FA技術を応用したノンFA領域にも手を広げる。FA企業の強みを活かす一手はここにある。