矢野経済研究所、協働ロボット世界市場調査2024 今後10年で出荷台数は7.4倍に 世界的な人手不足により採用増 メーカー各社も生産能力を増強

矢野経済研究所は協働ロボットの世界市場を調査し、2024年の市場規模は9万2000台超で、今後10年間は急成長を続け、2033年には7.4倍となる68万1000台超に達するとの見通しを示した。

2024年の協働ロボットの世界市場は、メーカー出荷台数ベースで前年比47.9%増の9万2496台。自動車やエレクトロニクス業界を中心に製造業が需要の多くを占めるが、非製造業、FA以外の領域での活用も進んでいる。
国別の導入状況では、中国では政府の支援策の追い風を受けて世界最大の需要国となっており、2024年は前年比177%増になる見通し。自動車とエレクトロニクス業界のなかで自動化が遅れている中小企業を中心に展開。非製造業ではカフェのバリスタ用や飲食店の調理用、医療や農業分野などの用途から引き合いが増加している。
ヨーロッパ市場では、ドイツを中心に需要が拡大し、2024年は129.7%増を見込んでいる。電気自動車の普及拡大にともなって二次電池やエレクトロニクス部品の生産量が増加する見込みで、人手作業に依存していた繰り返し作業を中心に協働ロボットの提案強化が進んでいる。また米国への輸出環境が厳しくなった中国メーカーがターゲット対象市場を北米から欧州へ変更して営業を強化している。
米国市場では、製造業の投資拡大が市場を後押しして2024年は約135%増を見込む。人件費上昇と原材料費高騰によって自動車業界を中心に生産自動化のニーズが高まっており、メーカー各社は設備投資が拡大している自動車及び二次電池、半導体の業界を中心に営業を強化。非製造業向けでは、韓国メーカーが飲食業界をターゲットに調理用やバリスタ用の協働ロボットシステムを展開し、またマッサージ用途の協働ロボットが注目され始めている。
日本市場では、労働人口の減少や災害対策などで製造業の自動化需要が増加。2024年には前年比約128%増を見込んでいる。製造業で自動化に向けたロボット導入の引き合いが増加しており、世界の主要メーカーが日本市場に参入し、業界や用途に特化した多様な仕様や価格の製品ラインアップを展開して市場シェアの拡大に取り組んでいるが、現時点では日本メーカー製の採用が広く進んでいる。
​韓国市場では、造船業や防衛産業の戦闘機製造工程、電線業界、スマート農業、病院の手術用、空港やカフェなど、さまざまな用途で導入事例が拡大している。
メーカー各社は、需要拡大・成長予測を受け、国内外での生産能力の強化を進めている。ABBは2023年に北米工場を増強、2026年には欧州工場の開設を予定。オムロンと提携をはじめたドイツのNeura Roboticsは生産拠点を中国からドイツへと移転して欧州事業を強化。KUKAも中国拠点の拡大が進行中。台湾のTechman Robot(テックマン)は、2025年に新工場が稼働予定。可搬重量3kgと30kgの新製品も予定している。中国のAUBO Robotics(遨博智能)は2026年に年産6万台の体制構築を目指しており、Shanghai JAKA Robotics(上海节卡机器人) は、2024年に5万台の生産体制とし、日本での生産も計画中としている。Elite Robot(苏州艾利特机器人)は中国国内で一括生産し、年間8千台の体制。DOBOT(深圳市越疆)も中国で年産8千台規模の工場を稼働。韓国のDoosan Robotics(斗山ロボティクス)は、韓国一国生産から、2026年に4国生産体制を目指しているとしている。
日本メーカーでは、ファナックは年産2万台規模の協働ロボット生産キャパシティを保有し、安川電機は需要地生産と内製化推進に向けグローバル最適生産体制を構築中。日欧米で新工場・既存拡張を進めている。

https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3591

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