【制御盤の未来と制御盤DX】フエニックス・コンタクト×Eplan 制御盤の設計・製造におけるデータ活用 組端子の 3D データ化と活用促進 PROJECT complete と Eplan のデータ連携

盤の設計・製造の効率化の鍵は「データ活用」にある。データを揃え、使い、時には自分でデータを作って業務に取り込んで効率化していくことが重要だ。

フエニックス・コンタクトは、電気 CAD Eplan が運営する製品データベース Eplan Data Portal に製品の 3D データを公開して設計者のデータ活用を促進し、さらに組端子台の設計ツール「PROJECT complete」を無償で公開し、設計者が自分用の組端子の 3D データを容易に作れるようにするなど、盤設計・製造におけるデータ活用の環境を提供している。

フエニックス・コンタクトは、グローバル売上高 34 億ユーロ(約 5700 億円)を超えるドイツの産業用接続・制御機器の総合メーカーで、電子基板や制御盤に使われる産業用端子台・コネクタなど配線機器をはじめ、スイッチング電源や雷サージ保護機器、さらには産業用スイッチやワイヤレスといったネットワーク機器なども取り扱っている。

制御盤の設計・製造効率化に対しては、早くから端子台や盤内機器のプッシュイン化による配線作業の効率化を提案してきたが、それと並行してデジタル活用、データ連携にも積極的に取り組んできた。

日本発のコネクタ端子台 VSF シリーズ

Eplan Data Portal への 3D データの掲載は、グローバルで展開している 3 万 1000 点以上の製品を掲載済みで、設計者が製品データを簡単にダウンロード可能な環境を整備している。さらに日本法人でも、日本市場向けに独自開発した製品を Eplan Data Portal に掲載している。

コネクタ端子台「VARIOFACE Compact VSF シリーズ」は、制御盤の小型化ニーズの強い日本市場向けに独自開発した製品。工場が広く、制御盤を設置するスペースに余裕のある海外市場に対し、部品実装密度を上げて、小型・省スペース化を求める声が多く、それに対応する製品として日本法人で設計・開発し、中国工場で製造。日本とアジアを中心に販売している。

通常、コネクタ端子台は取付方向が決まっているが、同製品は縦と横に向きを変えて取り付けができるのが特徴。従来品は縦と横向きで型式が異なり、案件によって制御盤設計者が使い分けする必要があったが、その煩わしさを解消した製品となっている。またサイズも業界最小クラスで省スペース化に貢献できるため、顧客からの反応もよく、採用も広がっている。

Eplan Data Portal に掲載 ダウンロードも多数発生

Eplan Data Portal への同製品の 3D データの掲載は 3 年前に開始。現在は同製品とケーブルの合計 168 点を掲載しており、約 1 年間で 2200 件を超えるダウンロードがあったという。

「ほぼ日本市場向けの部品であるにも関わらず 2200 件のダウンロードとは、非常に多い印象だ。購入の前段階で、設計者に知ってもらい、選ばれる機会・チャンスを得られるという点で Eplan Data Portal への掲載は有効だと考えている」(ICE 統括本部 ASD 部 SCT グループ 次長 村松 修一郎氏)

無料で使える組端子台設計ソフト「PROJECT complete」

また制御盤の設計・製造連携におけるデータ活用の取り組みとして、端子台を並べて組端子の 3D データを設計し、さらにマーキングも設定できる専用ソフト「PROJECT complete」を無償で提供している。

組端子は注文に応じたカスタム品であり、Eplan Data Portal のような標準品のデータベースには 3D データがなく、通常、設計者は自分で組端子台のデータを作らなければならず、大きな手間がかかる。

それに対し PROJECT complete を使うと、画面上で簡単に必要な組端子のデータを作成でき、マーキングも設定できる。終端やブリッジなど詳細な設定もでき、図面への記入漏れや発注忘れを防止することができる。作成したデータは Eplan に取り込んで使用でき、3D データ作成の手間を減らして設計効率化できることに加え、マーキングの自動化で設計・製造連携も可能になる。

ICE 統括本部 ICE 統括本部プロダクトマーケティング部 部長 湊谷 正道 氏は「当社では端子台の単品販売に加え、お客様から注文を受けて組端子を提供するサービスも提供しており、社内でも PROJECT complete を使って組端子の設計をしている。 端子台を選ぶだけでなく、エンドプレートやジャンパーブリッジなどのアクセサリー類の選定も容易で、大いに役立っている」という。

さらなるデジタルツール・データ活用を促進

電化や自動化ニーズによって制御盤の需要は増える反面、それを設計し製造する人手は減っている。これを解消するには各工程で効率化を進め、生産性を上げていくことが重要だ。

「制御盤の仕事があっても人手不足で作れない、設計できないという声も聞いている。設計者はレイアウト図、回路図、板金図の設計、製品スペックや納期の確認などやるべきことが多く、スキルも必要とされる。PROJECT complete や Eplan などデジタルツールを使うことで細かな確認や不要な仕事が減り、設計者の負担を軽減できる。今後プッシュインのさらなる普及や自動配線などと一緒に進むことで、例えば盤を 1 面作る時間で 3 面できるようになったり、空いた時間を若手育成に回すこともできるようになる」という。

さらに「組端子台サービスは、端子台の使用数が多いケースでは業務効率化に有効であり、もっと提案を強化して利用を増やしていく。加えて、お客様の注文は回路図やラフ図での依頼が多いが、PROJECT complete をもっと広め、お客様自身で使ってもらい更に Eplan ユーザーに対しては連携機能を知って頂けるよう啓蒙していきたい。現在、PROJECT completeはダウンロード版で提供しているが、進化版として WEB で設計ができる『ClipX Engineer』もリリースを予定しており、合わせて利用を促進していく」としている。

https://www.phoenixcontact.com/ja-jp

https://www.eplanjapan.jp

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