AIチップとHBMが牽引 FA業界の回復にも追い風に
SEMIとTechInsightsの共同による2024年第2四半期の半導体製造モニターレポートによると、2024年2Qの世界の半導体製造業界は、IC売上高の大幅な増加、設備投資の安定化、ウェーハファブ設置容量の増加など改善の兆しが進んでおり、半導体設備投資は2024年3Qからプラスに転じる見通しを示した。
2024年上期の電子機器の売上高は前年比0.8%減少となったが、3Qから電子機器の売上は回復して前年比4%増、前期比9%増と予測されている。ICの売上高は2Qに前年比27%増と堅調に伸び、3Qにはさらに29%増と急増が見込まれている。AI需要がICの売上成長を後押しし、好調だった2021年を上回ると予想している。
設置済みウェーハ工場の生産能力は、2Qに四半期あたり4050万ウェーハ(300mmウェーハ換算)に達し、3Qには1.6%増加の見込み。ファウンドリとロジック関連の生産能力は、2Qに2.0%と成長し、先端ノード向けの生産能力増強によって、3Qも1.9%増加すると予測。メモリ生産能力は、2Qに0.7%増加し、3Qも1.1%の成長が見込まれている。
半導体設備投資は、2024年上期は前年比9.8%減と控えめだったが、AIチップの需要増加とHBMの急速な採用を受けて、3Qからトレンドがプラスに転じると予想されている。メモリ設備投資が前四半期比16%増で成長を牽引し、非メモリ関連の設備投資は前四半期比6%増となる。
SEMIによると、半導体設備投資は、メモリ設備投資が牽引役となって3Qにはプラス傾向がはじまり、AIチップと高帯域幅メモリに対する強い需要が押し上げているとし、TechInsightsも、市場が2025年の急増に備えるなか、今年は半導体サプライチェーン全体が回復しつつあると分析している。