日本政策投資銀行は、「2024年度 設備投資計画調査」の結果を取りまとめ、大企業の2024年度の国内設備投資は3年連続の増加となることが分かった。
2024年度の大企業の国内の設備投資は、前年比21.6%増と大幅増が見込まれ、1980年代以降では2022年度の26.8%に次ぐ高い伸びとなると予測している。
製造業の投資は堅調に回復しており、2023年度にコロナ禍前の2019年度を超え、2024年度も7%ほど上回る見通し。電気機械や化学・非鉄などの素材産業で半導体の製造能力増強に向けた設備投資が継続し、自動車の電動化対応によって電池や電磁好版も投資が期待される。再エネ、省エネ導入需要は続き、再エネ向け送配電網強化への投資も出てきている。
非製造業では、人流拡大やインバウンド増加を受けた空港機能の増強や、ホテルや娯楽施設の増加、都心再開発の継続などで設備投資が発生すると見られている。
海外設備投資については、2024年度は21.3%増と高い伸びが続く。北米は22.0%増で、自動車のほか、天然ガスや水素などエネルギー関連が高い伸び。中国を除くアジアは21.2%増で、自動車、不動産で増加、中国は7.4%増で伸びが拡大。欧州は素材関連の化学は増加するが、全体としての伸びは鈍化する見通し。
またデジタル化や脱炭素といったトレンドに対する設備投資については、デジタル化投資は34.0%増の計画。製造業は19.5%増で、輸送機械でデータ一元管理などの投資が計画されている。非製造業は46.9%と高い伸びで、卸売小売業でのECインフラ拡充、電力・ガスの遠隔保守管理、運輸での顧客対応や倉庫の自動化などの計画がある。AI・IoTの活用も高まっており、多くの企業で議事録作成や業務効率化での活用が挙がり、製品検査や創薬、空調や配車最適化などの高付加価値化に向けた活用も出ている。
カーボンニュートラルは、全体の設備投資に占める脱炭素関連投資の割合は前年からほぼ変わらず、「なし」が40%、「0~5%」が23%、「5~10%」が19%となっている。
地域別では北海道、関東、東海地方が高い伸び
地域別の設備投資の状況は、全国で20.6%増の大幅増を見込む。すべての地域で増加し、特に北海道や北関東甲信、首都圏、東海は20%以上の高い伸び。
北海道は発送電設備の更新がある電力や新規物件取得のある不動産、輸送機械などが牽引役となり53.9%増。東北はEVや医薬品向け需要による化学の工場新設・増強があり9.5%増。北関東甲信は電気機械、化学、輸送用機械、精密機械、電力の投資が堅調に続き43.0%増。首都圏は化学、都心再開発や物流施設新設がある不動産、運輸などをを中心に32.9%増、北陸は5年ぶりの増加となる9.0%増。東海は電動化投資が増加する輸送機械、化学などで半導体関連などへの投資も増加して22.6%増。関西は新線や沿線開発が旺盛な運輸、製薬や脱炭素関連に取り組む化学、非鉄金属が引っ張り11.0%増。中国は脱炭素や工場新設のある化学、輸送用機械の大幅投資により13.6%増。四国は脱炭素や能力増強を図る非鉄金属、神パルプにより14.4%増。九州は精密機械や再生可能エネルギー投資がある電力などで2.2%増となっている。
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