富士キメラ総研は、IT・DX関連の投資額調査をまとめ、デジタルイノベーションの実現や人手不足対策として投資は活発化し、2028年度にはIT投資額は26兆4447億円、うちDX関連は6兆8730億円なると予測した。
国内のIT投資額は、コロナ禍で先送りになった投資の再開や半導体関連での大規模投資、インバウンドを含めた人流の回復などを背景とする設備投資の拡大によって増加傾向。従来型のIT投資は既存システムのダウンサイジングやクラウド化の一方、人手不足への対応やコスト削減を目的とする効率化で安定した推移が続くと予測。2028年度には26兆4447億円に達するとしている。製造業の投資額は製造DX推進とサプライチェーン関連のIT投資が増えている。
分野別では、業務システム系はDXの基盤構築としての需要が堅調。営業・マーケティング系は顧客接点の多様化への対応や営業の量と質の向上を目的に投資が進み、特に小売・卸売業や金融業で高成長を予想。また、サイバー攻撃に対するセキュリティ領域への投資も伸びるとみられる。
企業規模別では、大手企業はDX推進や業務効率化が中心で、特に物流・運輸業は2024年問題対策、製造業はスマートファクトリー実現に向けた投資が進展している。中堅・中小企業はITリテラシー向上に加え、人手不足対策を目的としたIT投資が目立っている。
DX関連投資は、2023年度で4兆1316億円となり、2028年度には6兆8730億円に達する見通し。業種や企業規模を問わず増加しており、今後もデータ活用による経営管理の高度化、新規ビジネスの創出、現場課題の解決に向けたDX投資は続くと見られている。