三菱電機 名古屋製作所 設立100周年 これまでの歩みと次の100年に向けて

日本のデジタルものづくりの発信地 社会課題の解決に貢献

三菱電機のFAシステムの開発・生産拠点である名古屋製作所が、2024年9月1日に開業100周年を迎え、その歴史を振り返ると共に、注力製品であるシーケンサとサーボモータの製造工程を公開した。

1924年三相モータ製造工場としてスタート

三菱電機は1921年に設立され、名古屋製作所は1924年に三相モータ等の生産工場として稼働を開始。敷地面積は30万6000平方メートルあり、建物の延床面積は25万2000平方メートル。現在はシーケンサやサーボ、インバータ、表示器、ロボット、産業用PCなど制御・駆動機器の開発・製造を担い、3500人あまりが働いている。
分工場として三相モータの製造を担当する愛知県新城市の新城工場があり、現在建設中で2025年稼働開始予定の尾張旭の新工場も名古屋製作所の分工場としてサーボの製造を担うことが予定されている。
今でこそシーケンサやサーボ、インバータなどFA制御機器のイメージが強いが、戦前戦後には扇風機や冷蔵庫など家庭用電気機器、エレベータ・エスカレータ、ノーヒューズ遮断器、電磁クラッチブレーキなど幅広く開発・生産を担っており、その後、それらの事業を育成してから他製作所に移管し、同社の発展に大きく貢献したことから名古屋製作所は「母なる名古屋製作所」として特別な工場と位置付けられている。

FA事業の中核拠点へ

1978年にシーケンサの生産開始と鎌倉製作所からCNCの移管があり、そこから本格的にFA関連製品の事業化が進展。1979年にレーザー加工機、1981年に産業用ロボットとインバータ、1983年にACサーボの生産を開始し、現在のFAシステム事業の中核拠点としての基礎を築いた。その後、1992年に表示器、1996年に基板穴あけ用レーザー加工機と事業を拡大。
2021年には名古屋製作所敷地内に産業メカトロニクス製作所を設立。名古屋製作所からCNCや放電加工機、レーザー加工機の開発・製造を移管し、現在はFAシステムと産業メカトロを分けて領域を特化させることで柔軟に対応できる体制となっている。
海外需要の増加にともなって名古屋製作所の生産力増強、海外生産にも取り組んできた。1997年には名古屋製作所内にFA制御機器生産棟(E2)が完成、中国の三菱電機大連機器で生産を開始し、2011年には中国に三菱電機自動化機器製造(常熱)を設立。2023年にはインドの新工場でFA制御機器の生産を開始し、グローバル体制を強化している。
また、現在は製造業DXやスマートファクトリーなどデジタル技術を活用した工場や製造現場における生産性向上が盛んに叫ばれているが、名古屋製作所は2003年にデジタルものづくりの元祖とも言うべき「e-F@ctory」を発表。20年以上前からFAとITシステムを統合し、デジタル技術を活用した工場運営を提唱し、いち早く取り組んできている。

次の100年に向けて

次の100年に向けて、田中貴久 名古屋製作所 所長は「社会の変化が激しく、複雑化し、社会課題も困難なものに当たることが多くなった。カーボンニュートラルも避けられないものとなっている。先日発表したデジタル基盤Serendieを通じて、FA領域でも社会課題の解決に貢献していく。デジタル化やDXを始めるためにデータ収集や活用という最初が越えられないという声を聞くことが多く、それを早く解決できるように取り組んでいる。これからの100年に向けてデジタル先鋭化された製品を使っていく。リアルタイム制御技術を中心に継承し、次に来る製品を生み出すためにオープンなイノベーション環境を作る。進化と対策の両輪を生み出しながら次の100年を切り開いていく」と話した。

自動化、作業支援を活用し生産性を向上

シーケンサとサーボの製造現場も公開され、シーケンサは2013年に竣工した6階建のE4工場で製造。月産30〜40万台の生産能力があり、1000機種を受注に応じてフレキブルに生産するため、面実装ラインだけで1日150回の生産機種の切り替えを行い対応している。6階は17本のラインでプリント基板へのチップ部品の自動実装を行い、実装された基板の搬送はAMRが定期的に出荷場に運び出す全自動搬送を採用。5階では追加の部品を人の手ではんだ付けし、セル生産ラインで組み立て、ねじ締めをし、検査して包装して出荷。セル生産ラインでは作業支援システムを導入し、表示器に作業指示を表示し、部品の取り出しガイド機能などで作業員のミス防止と効率化をサポートしている。またシーケンサのベースユニットの組み立ては、ロボットによる全自動化ラインが担当。ユニットの組み立てとねじ締めをロボットが担っている。
サーボはW3工場で製造。ローターとステーた、エンコーダを組み立て、梱包して出荷している。また製造業とゲームをかけあわせて、作業者が自身のアバターを成長させてスキルを可視化する「Fun Factory(FFA)」を導入し、作業者のモチベーション向上の取り組みを行なっている。

https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/events-seminars/factories/nagoya/outline/index.html

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