リタールは、神奈川県小田原市に、エンドユーザーや制御盤メーカーが制御盤の設計・製造連携、製造の自動化・効率化を体験し、実証する施設となる「リタールアプリケーションセンター」を開設した。ヨーロッパでは11カ国に展開しており、アジアでは初めて。
同センターは、既設の物流拠点とプロダクトサポートセンターの一部を改修し、システム整備や自動加工機など新たな設備を導入して開設。リタールとEPLANのソリューションを連携し、制御盤の設計から製造までをデータでつなぎ、そのデータを使って製造工程を機械化・自動化し、生産性を向上するバリューチェーンの一連の現場プロセスを展示している。さらに、持ち込ん設計データをもとに、筐体の穴あけ加工や電線加工、デジタル指示書といった製造の自動化やデジタルサポートを実際に体験・検証できるようになっている。
現場には、盤筐体の穴あけやねじ切り、フライス加工が1台でできる専用加工機「perforex MT ミーリングターミナル」、電線の切断からフェルール端子の圧着まで1台で行う全自動電線加工機「WT C ワイヤターミナル」の実機があるほか、制御盤の部品組み付け作業の指示を表示するEplan Smart Mounting、配線指示を行うEplan Smart Wiringの組み立て・配線の効率化システムも整備。デジタルデータを使った製造工程の自動化、効率化のプロセスが再現されている。
開設にあたってリタール日本法人の新岡卓社長は「制御盤業界の課題解決や国内でものづくりを残すためには生産性向上が必要であり、設計と製造のデジタル連携が必須となっている。しかし実際にその現場を見るためにはハノーバーメッセやSPSまで来ていただかなければならなかったが、今日からはこのアプリケーションセンターで体験できるようになった。ぜひ活用してほしい」と話した。
リタールインターナショナルのマークス・アッシュCEOは「いま世界は大きな転換期にあり、効率化、経済性、クリーンであることが求められ、例えば電気自動車を普及させるにはもっと電気が必要になる。制御盤の産業は今後も成長が予想され、それを実現するには協力し合って生産性を高め、価格を下げ、省人化していくことが必要だ。そのために顧客のプロセスを最適化するのがバリューチェーンであり、そこで必要なのが標準化だ。ハードとソフトがシームレスにつながることが必要で、それを見られるのがこのアプリケーションセンターだ。この施設では、お客様に体験してもらうと同時に、私たちがお客様から学ぶ場でもある。いただいた意見をもとに、より最適な製品開発へとつなげていく糧としたい」とした。
リタールインターナショナルアジアパシフィックのハビエ・マリア・ゴンザレス・ロペス アジアパシフィック副社長は「日本にアジア初のアプリケーションセンターを開設した理由は、ハードウェアとソフト、システムインテグレーションにより圧倒的に生産性を高め、プロセスを改善できる。9月の日本に続き、11月にオーストラリア、2025年には韓国、インド、中国に開設し、5年後にはアジアすべての国々でオープンする予定だ」とした。
EPLANの井形哲三社長は「いままで職人が配線加工までやっていた部分を人口減少社会のなかでどうやるかが業界全体の課題となっている。その解決策について今までは想像しにくかったが、今日からはこのアプリケーションセンターに実際の機械があり、プロセスを見られるのでピンとくると思う。いまはトータルで生産性をどう上げるかという時期にきている。どう組むのかといったデータを作ることによって盤メーカーは楽になり、生産性は大きく向上する。バリューチェーンは、エンドユーザー、盤メーカー、システムインテグレーターにとっても嬉しい仕組みであるということを訴求していく」とした。
リタールアプリケーションセンターの住所は、〒258-0015 神奈川県足柄上郡大井町山田 2100。見学や利用を受け付けている。
https://www.rittal.com/jp-ja/Services/Rittal-Application-Center