第11回ロボット大賞が決定し、経済産業大臣賞のファナックの加工ロボット「M-800」、総務大臣賞のPreferred Roboticsの搬送ロボットシステム「カチャカ」などが受賞した。人手不足や
生産性向上を実現し、かつ社会実装の実績や今後の期待度の高さを感じさせる先進的なロボットが選出された。
経済産業大臣賞のファナックの世界最小の大型加工機 高精度本格加工ロボット「M-800」は、従来の加工機では困難だった高精度な加工を実現する高精度6軸多関節ロボットで、絶大な省スペース効果と低コスト化、自動車産業、航空機産業等で利用がはじまり、さらに横展開への期待の大きさが高く評価された。
総務大臣賞のPreferred Roboticsの搬送ロボットシステム「カチャカ」は、自律移動機能を備えた搬送ロボットシステムで、AI機能の組込みによる高度な自律移動や人とロボットの円滑なコミュニケーションの実現等、ソフトウェアおよびクラウドやスマートフォン等も活用したソフト・ハードのインテグレーションに関しても高い技術を有し、高度ICT基盤技術との連携、ICT利活用という観点が高評価を受けた。
文部科学大臣賞のJAXAらの超小型月面探査ローバLEV-1&LEV-2は、日本初の月着陸機SLIMに搭載された超小型月面探査ローバ(LEV)。月面で連携してミッションを遂行し、その成果は宇宙開発と科学技術の発展に大きくインパクトを与えると評価ポイントを挙げた。
農林水産大臣賞のNEWGREENの水田に浮かべる自動抑草ロボット「アイガモロボ」は、化石燃料や化学農薬、人の手を使わずに自動で走行する水田抑草ロボット。世界初の自動水田抑草ロボットを実用化し、国内の導入実績だけでなく世界中で実証実験を開始しており、将来性の高さと、生産された有機米を買い取るビジネスモデルもユニークであるとされた。
国土交通大臣賞の建ロボテックの鉄筋結束ロボット「トモロボ」は、建設生産での主要部材となっている鉄筋コンクリートの中で補強材として格子状に並べられている鉄筋の交点を針金で緊結し固定する作業を人の代わりに行う人協働ロボット。国内外の特許も取得し、販売・レンタルで導入実績も多く、建設現場の労働力不足に対して省人化と生産性向上を実現するものとしてのインパクトの強さが高く評価された。
このほか、中小企業庁長官賞(中小・ベンチャー企業賞)にハーモテックの「KUMADE-FORK(ECシリーズ)」、日本機械工業連合会会長賞につくばチャレンジ実行委員会のつくばチャレンジとラピュタロボティクス の自律走行搬送ロボット 「ラピュタPA-AMR」、優秀賞の介護・医療・健康分野に東北大学らのスマーター・インクルーシブ・ダンス、社会インフラ・災害対応・消防分野に三菱重工業らのプラント自動巡回点検防爆ロボット「EX ROVR」(エクスローバー)、農林水産業・食品産業分野にクボタの無人ロボットコンバイン、ビジネス・社会実装部門にugoの社会インフラサービスを支える業務DXロボットugo(ユーゴー)とコボリンの体をひねって姿勢の自由を提供するロボット車椅子「Hineru」(ハイネル)、要素技術部門にThinkerの近接覚センサー TK-01、審査員特別賞にニューテクノロジー振興財団のマイクロマウスが選ばれた。