東京営業部 部長 加納祐二 氏(右)と東京営業課 課長 渡辺一人 氏
太陽ケーブルテックは、2023 年に創業 100 周年を迎えた歴史ある電線・ケーブルメーカー。電線・ケーブルのなかでも特に FA・産業機械向け、半導体製造装置や工作機械、ロボットといった生産設備向けにフォーカスして事業を展開。海外市場でも日本メーカーが存在感を発揮し、強い領域を電線・ケーブル技術で支えている。
Eplan Data Portal には 2016 年から製品の登録を開始。日本国内の産業機械メーカーの間ではよく知られ、輸出機械でもよく採用されているが、本格的な海外展開はまだ道半ば。世界中の設計者が利用する Eplan Data Portal をステップとして海外での認知度を高め、需要の獲得を目指している。
創業 1923 年。産業機械向け電線・ケーブルに特化
同社の創業は 1923 年。大阪を拠点として関西、西日本を中心に電線・ケーブルの製造・販売を行っている。電線・ケーブルと一口に言っても民生品から産業用、グレードもさまざまだが、同社はロボットケーブルに代表されるような産業機械向けを中心に取り扱っている。
機械の動きに合わせて引きまわされる可動部用ケーブルと、制御盤内をはじめ機械内部で機器接続に使われる固定ケーブルの両方を揃え、産業機械に必要とされる電線・ケーブルは一通りすべてラインナップ。同社の電線・ケーブルは半導体製造装置、工作機械、ロボットなど日本で生産して海外へ輸出する機械での採用が多いことから、主要な海外規格を取得しているのが特長。UL と CE マーキングはほぼ全製品で取得済み。300 ページ超のカタログに掲載されている製品は在庫を保有し、比較的短い長さにも柔軟に対応し、トータルソリューションとして提案している。
顧客は日本のロボットや工作機械、半導体製造装置メーカーが中心で、それら向けで売上の 9割を占めるという。さらに新規分野として、医療機器や交通インフラ、EV 充電器などへの採用を目指し、提案を強化している。
東京営業部 部長の加納祐二 氏は「産業機械に必要な電線・ケーブルを取り揃え、即納や小口にもできるだけ対応し、かゆいところに手が届く形で商売をしています」という。
製品登録後、海外からの問い合わせが増加
Eplan Data Portal への製品登録は 2016 年からスタート。輸出の多い産業機械の制御盤を手がけている制御盤メーカーからの依頼を受けたのがきっかけで、現在は 2300 製品を掲載している。特に海外市場での認知を高めることを目的としている。
「登録をはじめた当時は、日本では多くのメーカーに採用され、実績があるにもかかわらず、海外での認知度の低さから採用が限られていました。Eplan は世界で広く使われている電気CAD で、日本だけでなく海外でも社名と製品を PR できることに期待してスタートしました」
掲載後は海外でのダウンロードも発生し、ホームページからの問い合わせでも海外からの問い合わせ件数が増加。今のところ期待した効果は出ている様子。「そこまでダウンロード件数が多い訳ではないが、肌感覚として、海外からの問い合わせも増え、それが数年続いており、掲載した効果はあったと感じています。いまは月次でダウンロードされたレポートを社内で回覧して情報共有している形です」(東京営業課 課長 渡辺一人 氏)
日本の強みを生かした製品を海外へ
新製品を定期的に開発・販売しているが、Eplan Data Portal へ登録していない製品もある。
そのなかには海外にはない特長を持つ製品や、市場からの需要が高いもの、中国市場にフォーカスしたものなど、ユニークなものが多数存在する。今後はこれらの特長的な製品の掲載も進めていきたいとしている。
例えば「RFX シリーズ」は、柔らかく、U 字折り返し 500 万回をクリアした屈曲性に優れた絶縁電線。1000V RFX-MTW LF は 1000V 対応で UL、CE マーキングに対応し、1000V RFX-SB LF はシールド付で EMC 対策が施されたものになっている。海外メーカーの電線は固いものが多く、取り回しがしにくいが、同製品は柔らかく曲げて使えるので制御盤内の省スペース設計に最適となっている。
「EM-TXT HF」は、ハロゲンフリーの環境配慮型の絶縁電線で、廃棄やリサイクル処理がしやすく、柔軟で、耐熱性 125℃、耐寒性マイナス 40℃の厳しい環境でも使えるものとなっている。
このほか産業ネットワークのフィールドバスから Ethernet 化にともない、同社でもEtherCAT、CC-Link IE、MECHATROLINK 対応の FA イーサネットケーブルなどもラインナップを増やしている。
海外事業の強化、新規領域の開拓に活用
会社として海外展開を強化しており、アメリカに現地法人を設立し、インドに営業拠点の開設を予定している。また国内でも医療機器など新規分野の開拓も進めている。これらと連動する形で、改めて Eplan Data Portal の活用方法を考えていきたいとしている。
加納氏は「現在はレポートを見るだけにとどまっていますが、グローバル化して海外事業の強化とリンクさせることで Eplan Data Portal が案件化のきっかけになるような活用方法が出てくるのではないかと思っています。国内に関しても、現在の半導体製造装置、工作機械、ロボットだけに特化せず、医療や医薬、食品、交通インフラ、EV 充電器など伸びている業界に対して認知を広げていきたい。多くの産業機械メーカーで採用されていると言っても、一部の事業部にとどまっているケースも多くあります。当社の営業担当も全事業部を回っているわけではなく、当社と製品が知られているわけではありません。それに対し、Eplan Data Portal によって、設計者が電気 CAD を使う時には必ず当社の製品と名前が出てくるようになっていれば啓蒙活動にもなります。引き続き Eplan Data Portal の活用法を検討していきたいと思います」と話している。