今年もライトハウスに日本の姿なし 日本の製造業ここにありを示せ

世界経済フォーラムから2024年のライトハウス(lighthouse)が発表された。22工場が選出され、地域別では中国が最も多い13工場、ヨーロッパが5工場、ASEANが2工場、インドが1工場、メキシコが1工場だった。日本の工場はなかった。ライトハウスになりたいと応募申請して審査の上で認定されるものだとは言え、もう何年も前に3工場が選ばれて以来、日本からライトハウスが出てきていないのは寂しいことだ。
ライトハウスになったからと言って業績が良くなる保証はない。ある種の名誉職みたいなもので、別にライトハウスならなくてもビジネス上のデメリットはない。しかしライトハウスになるとその中でコミュニティがあり、情報交換やネットワーキングが行われている。しかも管轄しているのは世界経済フォーラムという国際的にも影響力もある組織である。そこが「世界で先進的な取り組みを行っている、これからの製造業の指針となる工場」と認めたとなれば、少なからずそれらの工場の仕組みややり方、使われている設備や機器、システムは、これからスマートファクトリー、製造業DXのお手本となって世界に広まっていく。果たして今のライトハウスにどれだけ日本のFA製品が使われてるのだろうか。少し不安になる。
日本は戦略を立てて大きな勝利を勝ち取るのが下手だ。かつては現場が強く、戦術的に勝っていたから、戦略的な弱さに蓋をしていても競争ができた。しかし今は違う。労働人口が減り、余裕もなくなり、最前線の現場で体が張れなくなっている。だからこそ発想と行動を転換し、戦略的に省エネで勝つ方法にシフトし、それを国を挙げて一致団結してやっていかなければならない。日本の製品が海外で売れれば、その部品を供給するサプライヤーや設備まわりの企業も潤う。日本の工場が世界の見本、羨望の的になれば、日本のFA業界も潤う。そのためにも、ライトハウスのような第三者的な力をうまく使って世界に名前を売り、日本ブランドを高めていくことが重要な意味を持つ。このコラムが掲載される頃には選挙が終わっている。新たな日本政府には「日本の製造業、ものづくり産業の復活のために、2030年までにライトハウスを20工場まで増やす」といった具体的な目標を出し、その補助金制度を出すぐらいやって欲しいものだ。

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