DXのスタートは現場の頑張りに報いる仕組みづくりから デジタルツールで非効率をなくす

先日、ある業務ツールを解約した。会社のデータ基盤として重要であり、うまく使えば便利だということ、導入実績が多く、便利に活用してDXにつなげている企業がたくさんあるということは知っている。しかし数年使ってみたが、ウチには合わなかった。というより、使いこなせなかったというのが現実だ。次回の契約更新の際には価格改定で料金が2倍になるというので、ちょうど良いタイミングだと思って解約した。
はじめにそのツールの導入を検討した際は、データ活用の時代には必要な基盤になるものであり、知り合いの会社でも使っているのを知っていた。私自身も以前に少しだけ触れたことがあり、いずれ必要になるだろうと思って、何をやりたい、どこに必要かというアプリケーションまではあまり考えずに購入した。データをそのツール内にアップしていって一元管理したのはいいが、そこから先に進まない。アプリケーションを作ってみても、今まで使っていた別のツールに比べると使いにくく、普段の活動ルーチンの中に食い込んでこない。次第にツールからは足が遠のいて休眠状態になり、一方で日々の業務活動は何の支障もなく進んでいる。だったら契約していても無駄であり、逆に普段の業務活動にあったサービスやツール、やり方を探した方が良いだろうと思って解約した。客観的に見れば、これは当社のデジタル化、DXの失敗だ。成果らしい成果は出せず、単にSaaSを数年間、契約しただけの無駄な出費だった。
DXに向けてデジタルツールを入れることは、先進的でカッコ良い、DXをやっている気になる。しかし、それを導入する理由が希薄だと導入がゴールになり、成果につながらない。ブームやトレンドに乗って経営者やデジタル担当が安易に導入した時にハマる罠だ。デジタルツールで現場や実務担当者の負荷を下げ、非効率を減らすことで長く安定して働いてもらう意思を作ること。これがツールを導入し、成果を出すコツ。ツールは使われなければ意味がない。人手不足対策として採用に力を入れるよりも現場で頑張る人々に報いる仕組みを作る。それが最優先だ。

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