富士経済は、メカトロニクスパーツ(FA・PA設備構成部材42品目)の市場予測を発表し、2027年には2023年比25%増の3兆6095億円に達するとした。2024年は市場在庫の消化で受注が低迷しているが、2025年にはそれもひと段落して設備投資が増加して回復基調になり、2027年まで市場は拡大すると見通している。
2023−27年の市場の動き
2023年は、長期化していた材料や部品不足が改善したものの、中国やアジアの市況悪化により設備投資が減少したため、市場は低調だった。2024年も前年からの設備投資減少の影響により在庫の滞留が見られ市場は停滞したが、一方で、工作機械や半導体製造装置、成形機などの生産再開を受けて、使用されるメカトロニクスパーツの引き合いも回復に向かい、後半からは中国で比較的早期に在庫が正常化したことや半導体関連の設備投資が増加していることから、市場拡大が予想される。
2025年以降は、在庫消化が進み、新規受注の本格的な再開が期待される。さらに、半導体需要の伸びによる半導体関連の大型案件や、自動車業界のEVや二次電池の設備投資増加も期待される。
グローバルでも中国や欧米に加え、セットメーカーやエンドユーザーがネクストチャイナとしてインドや東南アジアなどへ進出と投資増加を受けて市場の急拡大が見込まれている。
主要パーツの需要見通し
プログラマブルコントローラ(PLC)は、リレー回路の代替として開発された制御装置で、主に工場などの自動機械の制御に採用される。
2023年は、後半から中国を中心とする設備投資の減退や在庫過多、中国ローカルメーカーの台頭もあって日系メーカーの販売減少などから市場が縮小したが、2024年の後半から在庫消化が進むとみられ、さらに新規需要が期待されることから、2024年の市場規模は2680億円と見込んでいる。
2025年以降は、半導体関連の設備投資増加にともない製造業全体の設備投資が上向く予想で、市場も堅調に拡大し、2027年には3230億円まで伸びると予測している。
ACサーボモーターは、サーボ機構において位置や速度などを制御する際に使用するモーター。
2024年は、前年までに積みあがった先行発注の反動の影響がみられるが、一部ユーザーの在庫正常化や後半は設備投資が増加する見通しで、2023年比5.6%増の2450億円と見込んでいる。
2025年以降は、半導体やエレクトロニクス関連の大型案件が立ち上がり、市場は再び拡大に向かう見通し。EV関連やバッテリー製造など新分野における需要増もあり、2027年には3290億円まで成長すると見られている。
ライトカーテンは、対になった光電センサーを使ってロボットや機械などの稼働領域への侵入防止やエリア内の存在を検知する。安全対策のため導入が進み、堅調に市場が拡大し、2024年は前年比9.7%増の858億円が見込まれている。
2027年までに機械類の安全基準を規定する欧州機械指令が欧州機械規則に移行し厳格化することや、国内での置き換え需要を背景に、引き続き市場は拡大が予想され、2027年には1095億円と予測している。
調査では、メカトロニクスパーツとして、コントローラー領域6品目(PLCやHMI、産業用PC、CNC、モーションコントローラなど)、ドライブ・アクチュエーター領域11品目(ACサーボモーター、リニアサーボモーター、ダイレクトドライブモーター、産業用ステッピングモーター、インバーター、電動シリンダー、エアシリンダーなど)、センサー領域7品目(光電センサー、変位センサー、近接センサー、固定式コードリーダーなど)、受配電・接続機器領域8品目(端子台、スイッチング電源、遮断器など)、セーフティ機器領域4品目(ライトカーテン、積層表示灯など)、PA機器領域6品目(DCS、温度調節計、流量計など)の42品目を対象として調査し、市場は国内と日系メーカーの海外販売を対象としている。