いま日本は大きな転換期を迎えている。と言っても、コロナ禍の際も同じようなことを言っていたので説得力に乏しいが、変化点が到来していることは間違いない。国内外で政治に大きな動きがあり、状況の流動性は増した。どう動いていくかは未知数とは言え、ものが動くとビジネスも動く。新たなビジネスが生まれる隙も出てくる。膠着状態よりよっぽど良い。
FA業界も2Qが終わり、大きな組織変更など、刺激的なニュースが多い。今週取り上げただけでも、三菱電機はDX推進に向けてデジタル関連の子会社を統合、東芝も東芝インフラシステムズを統合、さらに子会社の統合も検討中、富士電機はエンジニアリングの富士古川E&Cを子会社化などがあった。また船井電機の破産や日産の大規模な人員削減など大きなニュースもあった。大手企業のこうしたニュースに関して言えば、分散していたリソースの集中や、デジタルなど新分野への注力、またはエンジニアリングを強化してサービスの付加価値向上といった狙いが透けて見え、新しい時代に適応しようとの意思が反映されている。時代や状況に応じて変わっていくことは、無為無策の惰性で過ごすよりよっぽど歓迎すべきことだ。
とは言え、こうしたアップデートはそこで働く社員やサービスを受ける顧客に対し変化を強いる。変化は痛みをともない、不安感が増し、変わることを拒否する人もいる。それは当たり前の話だ。しかし今の日本の経済状況は、長年続く老舗企業だってパタっと倒れたり、大手企業だってM&Aで買われる時代。隙を見せたらやられる厳しい生存競争にあり、ほとんどの企業は変化することを生き残り戦略の柱としている。働く側の立場からすると、それはある意味、安定や安全地帯がどんどん減っているということ。それに対し、こうした状況に向き合って変化の世界で戦うか、変わらない選択肢を主張するか、耳を塞ぎ目を背けて泣き喚くか。どれが正しい選択肢かは分からない。しかし私たちの覚悟が試されているのは確かだ。