
安川電機は、1トンの可搬重量を持つスカラロボット「MOTOMAN-ME1000」を発売した。電動自動車(EV)の床面に取付けられることが多い大容量バッテリー組み付けに対応し、低床部にもアクセスできる構造になっている。
EVのバッテリは年々大容量化し、重量も500kg超と増加傾向にある。EVバッテリは車体床面に搭載するのが一般的で、組み込むには搬送・位置決めするライン構成が必要になる。
同製品は、こうした重量化するバッテリーの車体床面への組み付け作業の自動化に最適なスカラロボットとして開発。可搬重量は業界初となる1トンで、最大リーチは2440mm。バッテリの大容量化による重量の増加に対応し、且つ水平方向の稼働を得意とするスカラ機構としたことで車体床面付近の狭い範囲を広い可動範囲でカバーすることができる。
また2mを超えるアームで1トンの重量を持つ場合、ロボット全体のたわみによってワークの水平を高精度に保つことは難しいが、同製品はたわみによる傾斜を補正する軸を付加し、組み付けや移載時に並行度を確保して組み付けやすくなっている。さらに組み付けや搬送台車への移載、ワークの多段積み時に必要な上下軸を装備し、2段昇降式とすることで動作部をコンパクトにしつつ、長ストロークを実現している。
本体は3.25トンで、垂直多関節ロボットに比べて軽量。スカラ機構はロボットアームの自重を支えるため、モータで保持する必要がなく、垂直多関節ロボットに比べて駆動における消費電力を低減。旋回動作範囲も必要最小限とすることで周辺設備との干渉スペース確保の削減もでき、設置スペースの検討や設置工事の負担を少なくすることができる。